2012/02/02

The cutter & tailor ww1

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さてさて、今回の「The cutter & tailor」でご紹介するアイテムは・・・





ww1の立襟型軍服です。!


100年前の軍服ですよー!背中の裏地には血がついてますよー!着てると痒くなりますよー!


正直、ミリタリー系には疎いのでこのジャケットの詳しいことが判りません。
私の所有するモノは、1900年代初頭に作られたそうです。(購入した際の札に書かれていた)
参考書などで調べたんですが、私もそのくらいの年代のモノだろうと思います。
しかし何軍のモノかはわかりませんでした・・・



(2012/2/19 追記!!!!)


このジャケットの詳細がわかりました。!
ミリタリーモノではありませんでした。
こちらはFrench Fireman Jacketです!フランスの消防服です。ビックリです。勉強不足ですいませんでした・・・


(追記ここまで!!!!)



詰襟ってことで、つまり学ランですね。
これまではラウンジスーツを基に、独特なパターンの特徴やディテールを見てきましたが、今回は立襟の軍服で、パターンの特徴を考察してみます。

ラペルのあるものだと、なかなか「着込み分」が写真では伝わりづらいと思ったので、立襟をチョイスしたのデス。!



それでは、ドゾ!




このジャケット、シルエットが完璧なんです。しかも私にジャストサイズ。嗚呼





この「はけ方」を見るだけで、どれだけ着込みを寝かしているのか気になってしまいます。









この背中・・・範馬勇次郎なんて目じゃないです。!!


美しい。



見てください。この肩のラインを。!
なで肩ですよ~





ヤッパリ、これですよねえ。
この袖、この鎌

嗚呼、ウツクシイ。









さて、ココからは胸のボリューム感を中心に見ていきます。








まずは、パターンの特徴をもう一度確認してみます。
この軍服の型紙は、以前に「古典的パターン」として紹介した「2」に非常によく似ています。
ポイントを上げると「着込みの分量」「肩傾斜」「袖の構造」などです。

「古典的パターン・2」のカッタウェイと脇のダーツを修正してしまえば、この軍服のようなシルエットになると思います。


(追記 2012年5月末)

カッタウェイと脇ダーツのみでは、このシルエットになりませんでした。
ひとつ重要な、基本的なことを見落としていました。

「前身頃と後身頃のハギ目、ウエストから下の極端なカーブです。」

サックスーツの研究を少しずつ進めていく中で、サックスーツの特徴はまさに「ソレ」にあると私は考えています。
これで、ラウンジスーツとサックスーツのパターンを自分の中で、より明確に差別化出来るようになりました。

「袋のように寸胴だからサックスーツと呼ばれるようになった。」

と、云うのが定説です。真実は解りません。
が、平面状での「ウエストから下の極端なカーブ」が立体上での「寸胴なシルエット」を作り出している。
と、云うパターンロジックにに気づけたのがとても嬉しいです。

(追記ここまで)









まずは、ボタンを閉じた状態でのシルエットを見てみましょう。




丸で囲んだ辺り(バスト付近も含む)に立体感が生まれ、男らしく力強いバストボリュームが出てきます。胸を張っているようなシルエットに見えなくもありません。

それに合わせ、前はしも立ち上がり、胸の丸みを形成していきます。
しかし、この写真では、あえて第一・第二ボタンを止めていません。それにより第三ボタンから上が体から浮いてきます。

もし、これが「テーラードジャケット」だったとしたらどうなるでしょうか?
このまま詰襟を取ってしまえば「くるん」と綺麗にラペルが返りそうです。それが今まで紹介してきたラウンジスーツです。




続けてボタンを開いた状態のシルエットです。





かなり、シルエットに変化が出ましたね~  やはり、立襟型軍服で見ると判りやすいですね。

先程の丸で囲っていた、独特な胸のボリュームがキレイに消えてしまいました。それに伴い、胸や首が自然に馴染んでいきます。
あのゆとりは「ハの字」にはけた裾に逃げてしまいました。

このような、「蹴回しのはけ」は特にロング丈のコートなどを作るとき、非常に有効な手段になってきます。
ただフロントカットのラインを削るだけでは、機能的な「はけ」は作れません。ある程度の「着込み分」が必要になってきます。



真横からもシルエットの変化を確認してみましょう。







違いが一目瞭然です。
閉じた状態ですと、胸から上のゆとりがしっかり見受けられます。




まずは、軍服で「着込み分」を見てきました。
ラペルが無いぶん視覚的に判りやすかったのではないでしょうか?ドウデシタカ・・・?

当時の服の「丸み」! たまりません。可愛いです。

こーゆーシルエットはやはり、前はしの線をカーブにしただけでは表現出来ません。
しっかりした着込み分あっての「丸」なんです。

また、顎癖ダーツひとつでラペルの表情が微妙に変わってくるので、着込み分ついでにつまんでみると、なかなか味のあるロール感になりますよ。返り線をまたぐ感じで。
返り線をまたぐ顎癖ダーツのラウンジスーツ






で、

ココで少し番外編デス。!


このブログのアクセス解析をしますと、以前紹介した外袖のS字カーブがなかなか人気のようで、やはり皆さん袖には"こだわり"が強いんだな~なんて、ひとり思ってました。

そこで今回も、袖に関するマニアック?なテクニックを紹介します。(マニアックでもないかな?)



題して「袖裏の星」デス。


なんのこっちゃ?と思う方が大半だと思います。
ワタシもこのテクニックを垣田さんから教わった時は「あーおおおお」って感じでした。
ちなみに、この軍服も星こそないものの共通するテクニックが見受けられたので、こちらの軍服で紹介しようと思います。




それではドゾ。!






上の写真をよく覚えておいてください。右袖のUPです。


この「袖裏の星」ですが、まず目的と手段を明確にしておきましょう。

このテクニックの目的は、アイロン操作した内袖線の形状を維持することです。
それに用いる手段が、表袖と裏袖のパターンのハギと星止めです。

さて、それでは型紙から。
表袖と裏袖のパターン(内ハギ)の違いですが、以下の通りになります。



裏地の内ハギが、ちょうど表袖のアイロン操作された内袖線上にきているのがポイントになります。


そして、星の位置がこちら(厳密には太線の縫い代)







上記3つのパターンと画像で、「表裏の内袖ハギ」と「星止め」の位置関係が伝わったでしょうか??

わかりずらい説明で申し訳ないです・・・

で、

アイロン操作された袖は、柔らかくふんわりとしたカーブを描きます。
シーム(縫い目)上でのカーブだと、なかなかその様なラインが出ません。
(袖のアイロン操作に関しては、パタンナーなら誰もが知っているであろうブログ、玉置の仕事場の記事を参考にして下さい。非常にわかりやすいです。!)


しかし、雨に濡れたり・長く着込まれる事によりアイロン操作のクセがとれてしまうことがあります。
そこで! 美しい袖を保つ為に、裏袖のシームを表袖のアイロン操作上にもってくるのです。
シームならば、カーブを維持することが出来るのでアイロン操作の補助的役割をしてくれる。と、云うワケなんです。

が、

それに伴い、必然的に「中綴じ」を何処でするか?という疑問にぶち当たります。(互いの縫い代が交わらないので)
ココで、「星止め」の登場です。

表地の縫い代と袖裏を星止めしてしまうのです。!わあ

垣田さんのジャケットをひっくり返すと、袖裏にポツン・ポツンと星が確認出来ます。
大抵の場合、袖裏にはストライプ柄の生地を使用するので星はほとんど見えませんが。
よーく見ると気が付きます。あ、垣田さんのジャケットだ!と。
アイデンティテイーデス!


すごーく、ささいな、誰も気付かないようなディテールなんですが、美しさの裏にはこんなワザがいくつも隠れているんデス。嗚呼











上の写真は以前にもチョロっと紹介した、メスジャケットとラウンジスーツです。
ちなみにこの2着の内袖のシームは右図の通りです。(袖の目などは参考になさらずに)
表と裏でパターンを変えるということは、ありませんでした。

しかし、こんかい紹介している立襟型軍服や、まだ紹介していないシングルのフロックコートはパターンを変えていました。!うーむ興味深い。


そこで、ワタシ、現代のジャケットはどうなのか気になって新宿伊勢丹メンズ館のジャケットをザァーと見てきたんです。4F、5Fの



結論。

13万円以上のジャケット(単品価格)には、表と裏でパターン変えているのモノがありました。(半々くらいの割合)
13万以下だと同一パターンでした。
ちなみに2011年の年末調べです。

まあ、パターンを変えているから抜群にラインが綺麗になるとか、そんなことはないですが、市場調査の結果としてやはり、手間のかかる仕様ではあるようです。オモシロイ。



ハイ、と云うわけで、番外編「袖裏の星」でした。!

記事が長くなりすぎるので、軍服に戻ります。!



では、

「鎌深」と「身頃のライン」を見てみます。










もはや、お決まりですね。浅い鎌です。

そして、身頃のシルエットは正面から見るとAラインですが、後脇から見ると結構シッカリつままれていますね。




続けて、裏地です。






綿裏になります。
表地のメルトンに負けじと厚みのある綿裏です。
内ポケットもなくシンプルな裏側です。

持ち出しの巾が広いので(かぶりが多い)右前の見返しの方が大きいです。
少しでも雨風や埃を防ごうというディテールでしょう。






背中の肩の部分には共地のループが挟み込まれています。
一体なんなのでしょうか?
・・・わかりません。


続いて、衿裏です。


これは、拝絹ですかね?
丁寧にまつられています。中には非常に粗い麻芯がはいっていました。

ちなみに、ワタシが気になったのは「前突き」です。
こちらの軍服の見返し、よく見ると断ち切りになっています。
この様な、前突き仕様も現代では必要なくなりました。いちデザインとしては残っていますが。






衿端のこの刺繍から年代や何軍かなどの情報がわかりそうなんですが、探してもわかりませんでした・・・



さて、The cutter & tailor ww1ですが、大体終わりです。
生地感やボタンなどのデティールを紹介して〆ます。!







ボタンの裏には「PARIS」の文字が確認できます。



上記の画像は、袖口の当て布部分です。

糸の埋まり具合やキセのかかり具合が非常に美しいです。





やはり、ホールは手かがりです。味わい深いです。






上記の参考写真を見ていて、みなさんもお気づきかと思いますが、このような軍服は基本的に身体にポーチなどを巻いて使用するのが普通だったようです。
私の所有するいくつかの軍服の写真もみな、身体にありとあらゆるものを巻いています。主に陸軍がそのようです。

なので、ポケットの無いシンプルな服が多いのでしょう。生産効率的な意味もあったのかもしれません。
しかし、結果的にシンプル故に身頃のラインやパターンがわかりやすく、今見ると大変勉強になります。ありがたや・・・



また、ボタン上がりが高い位置にあります。(ヘソ付近で終わっている)
これは以前に特集しましたFrench Hunting Jacketにも通じる特徴です。
下半身の運動性を妨げないように、高く設定されています。

細かいところまで、考えて作られているんですね。素晴らしい。アリガトウ。



あああああ
以上デス。!!


いやあ、今回は本当に記事が長すぎました・・・
2回に分ければよかったなあ。
そうすれば、もっと細かいことまで書けたような気がします。反省。


春頃までには、今回紹介したこの立襟型軍服を解体してしまおう!と思っているので、バラバラにして、また何か発見があれば紹介します。!





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