また、チョット袖のお話。
いつも気になる外袖線にとられるこのダーツ。
1センチ弱程度しか、つままれない、ささいなこのダーツ。
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上の図は1890年代の袖のパターンをダーツが判りやすい様に外袖線で合わせたものです。
基になっているのは以前にも紹介したコレです。
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別にこの資料だけがダーツを取っているわけでもなく、ヨーロッパのラウンジスーツの資料でも、アメリカのサックスーツの資料でも、当時の古い製図にはほぼ必ずコイツがいます。(でも、サックスーツだと無い場合もある)
ところが、現代の服でこのダーツはまず無いです。
古着が好きなマニアックなブランドがたまにやっているくらいです。45rpmとか・・・
テーラーでこれをやっている方も知りません。
ところが、現代の服でこのダーツはまず無いです。
古着が好きなマニアックなブランドがたまにやっているくらいです。45rpmとか・・・
テーラーでこれをやっている方も知りません。
「なんで削るんだろう?」と思い、学生時代のジャケットのシーチングでコッソリ削って先生のチェックを受けてみたら、「おかしいよ!」とスグ修正されたのは良い思い出デス。
で、
実際の古着を見てみると、ヤッパリ削られています。
いくつか写真で紹介シマス。
1890年代のラウンジスーツ
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よ~く 袖を見てみると・・・
嗚呼。!
ホラ、ココに!
一目瞭然で削られているのがわかります。
続いて、上とほぼ同年代のコットンジャケット。
これもかなり作りこまれています。ハ刺し、手まつり、手作業尽くしデス。
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このジャケットは特にわかりやすいですねえ。
外袖線が綺麗にS字カーブを描いています。いい雰囲気しますねえコイツ。
更に、同時期のコットンジャケットをもうひとつ。
コイツもハ刺しがされています。
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写真ではわかりづらいですが、地の目を辿っていくとヤハリ肘の上で微妙に削られています。
このジャケットは袖山のイセ感が独特でイイですね。
ここで、1870年~頃のアドをご覧下さい。
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右の紳士の袖が非常に特徴的です。
肘のデッパリに目がいきます。
袖山のきわどいイセ感もなんとも云えません。ウマイのかヘタなのか。ニクイなあ・・・
先日、垣田さんのアトリエにお邪魔した際に見せて頂いた資料から、目を引いたモノをひとつ紹介します。
1915年のネガです。コレも袖がなんとも云えぬ雰囲気を漂わせています。
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スゴク、カッコイイと思います。
今では中々こんな袖は見ないですよねえ。お洒落だなあ。
肩周りの立体感・肘上のシャープなライン・からの肘下にかけてズドン。!
って感じデス。
こんな袖でシーチング組んでみようかなあ。
オマケに、後輩のI君が「こんなの見つけました!」と教えてくれた超変り種の袖をご紹介デス。
「The London Art Fashion Journal」と云う古い資料から
「The London Art Fashion Journal」と云う古い資料から
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奇妙な一枚袖です。
二枚袖を外袖線の肘上で合体させたような形をしています。
そして、やはり微妙にとられる謎のダーツ。
しかし、この製図だと内袖側にかなり寄っている感じがするので、また違った見え方をしてくれそうですね。
実に興味深いです。
ちなみに、このI君が貸してくれた資料には「骨折した人用のスラックス製図方」などかなり珍しいモノが載っています。オモシロイ
I君ありがとう。! ベ○○ル頑張れよ笑
I君ありがとう。! ベ○○ル頑張れよ笑
それでは最後にちょいと、スペシャルな服を紹介しましょう。
~1870年頃にイギリスで作られた「MESS JACKT」です。
ミシンは一切使われておりません。フルハンドです。
裏地は総キルティング仕様になっています。そのキルティングすら手縫いです。
勲章や縁飾りも全てが手縫い。
いったいどれだけの時間を要して作られたのでしょうか・・・
そんな一着の袖にも、ヤハリあのダーツがいます。
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~1870年頃にイギリスで作られた「MESS JACKT」です。
ミシンは一切使われておりません。フルハンドです。
裏地は総キルティング仕様になっています。そのキルティングすら手縫いです。
勲章や縁飾りも全てが手縫い。
いったいどれだけの時間を要して作られたのでしょうか・・・
そんな一着の袖にも、ヤハリあのダーツがいます。
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当時の資料でも、ラウンジスーツやサックスーツの絵型・型紙などは比較的見つけやすいのですが、正装の資料は数が少ないと思います。
インバネス・フロックコート・カッタウェイフロックを初め、燕尾服・ディナージャケットなどは見つけるのには少々、苦労します。
この「メスジャケット」も中々ありません。
それでは袖をご覧下さい。
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他のものに比べ、しっかりダーツが取られているのがわかります。
はっきりと外袖のS字カーブがわかります。
私が見てきた中では、ラウンジスーツなどに比べ正装の上物にはこのダーツがはっきりと取られている傾向が強いと感じます。(メスジャケットは準正装的な立ち位置かな?)
さて、いろいろな古着・アド・ネガ・型紙から、外袖線のダーツ・袖のS字カーブを見てきました。
それでは何故、この様な構造になっているのか?
私が思うに、人間の腕の形そのままがこのS字カーブを作ったのではないか?
と思います。
鏡に立って上着を脱いで、自分の腕をよ~く観察すると外袖線が微妙にS字を描いていると思います。肘のチョイ上がへこんで、二の腕に繋がる感じです。
また、こんな意見も聞いたことがあります。
「乗馬に適した袖の設計だ」と、
「肘が綺麗に出て乗馬の際に美しい袖になる」と。
スーツの歴史を辿れば、必ず乗馬服にいきつきますから、ごもっともです。
確かにそれだと上で云った、ラウンジスーツに比べ正装の方がダーツが多く取られている。と云う予想が当たっている様な気もします。
スーツの歴史を辿れば、必ず乗馬服にいきつきますから、ごもっともです。
確かにそれだと上で云った、ラウンジスーツに比べ正装の方がダーツが多く取られている。と云う予想が当たっている様な気もします。
もともとは、ラウンジスーツで馬に乗るなんて無かったですからね。(1850年くらいは)
自転車に乗る際も美しい袖になったのかしらん。
ハイ、今回はここまで。!
こんな廃れてしまったダーツひとつ、どうってことないと思われるかもしれませんが、完成した洋服の表情がすごく変わったりするんですよね。佇まいと云うかね。
もっともっと勉強したいです。
今は本物のローデンスリーブがみたいですねえ。どっかにないかなあ。分解したいなあ・・・
こんな廃れてしまったダーツひとつ、どうってことないと思われるかもしれませんが、完成した洋服の表情がすごく変わったりするんですよね。佇まいと云うかね。
もっともっと勉強したいです。
今は本物のローデンスリーブがみたいですねえ。どっかにないかなあ。分解したいなあ・・・
さて!
次回からはちょこちょこ紹介している古着達の写真をドンドンUPしていこうと思います。!
次回からはちょこちょこ紹介している古着達の写真をドンドンUPしていこうと思います。!
ワークウェアならWorkers!ミリタリーならフルギア!マニアックなワケワカラン廃れた服ならrrr129!
って感じッス。