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The cutter & tailor 1

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さて、今回から数回に分け「The cutter & tailor」と題し、現代のジャケットと1890年代のジャケットは何が違うのか?
見た目のデザインやシルエットはもちろんですが、更に深くパターン構成・芯地使いを中心に紹介したいと思います。

メンズスーツのカテゴリーの中でヤッパリ私が1番魅かれるのが1848年~のラウンジスーツです。サックスーツもまた然り。
1870~1890年くらいに現代のスーツの形・スタイルは完成されていたと思います。


まあ、ナポレオンまで掘り下げてもいいのですが、今回は1870年~から紹介します。
機会があれば、1850年~くらいの古着・パターン・芯地なども写真で紹介したいですネ。1798年のリネンのモーニングもあります。その辺は後ほど・・・



それでは、2011年のタイユールと1890年のラウンジスーツをマニアックな視点から紹介します。!




まず、初めに2000年代のジャケットのパターン例として選んだのがコチラです。


コレは私が初めてメンズのスーツ・仕立て方を学ばせて頂いた、垣田幸男先生の基本形となるパターンです。
コチラは垣田先生から掲載許可をとりUPしています。
実際のものは、アルファベット上にいくつもの細かい寸法が入り、アイロン操作も複雑に重なってきます。今回は基本寸法と外枠線のみ掲載許可を頂きました。

※垣田さんが実際に仕立てられる際は、お客様ひとりひとりのパターンを起こします。
今回の基本形パターンは、あくまでも垣田さんが生徒の勉強用にとおくばりしているモノです。

垣田さん有難う御座います。!
また、ゆっくりお話しましょう。


ちなみに垣田先生のパターンでジャケットを作るとこんな雰囲気になります。
※このジャケットは垣田先生が制作したものではありません。生徒が制作したものです。参考程度にドウゾ





続いて、1890年代のパターン例はコチラから
(この本を知っているアナタとは良い酒が呑めそうです)







上記の本は1893~1898年当時のテーラーリングがつまった貴重なものです。
LONDONのJOHN WILLIAMSON COMPANYから出版されたものです。

採寸・型入れ・パターン構成から芯地構成・アイロン操作・体型修正まで全てがつまっています。
その中に紹介されているパターンから1つを1890年当時のパターン例として紹介します。



 

「Whole Back Lounge」と記されています。
「寛ぐのに丁度いいスーツ」?と云うモノらしいです。まあ、ラウンジスーツです。

型紙・絵型を見る限り当時のニオイがプンプン漂ってきます。
また、当時の古いテーラー本はどれも製図が右前で描かれています。
いつごろから左前で製図するようになったのでしょうか・・・?




さて、2000年代・1890年代と出揃いましたが、ココで更にもうひとつパターンを紹介しようと思います。




「MEN'S GARMENTS 1830-1900」と云う1996年に出版された本です。
こちらは今でもアマゾンなどで買えます。Mens-Garments-1830-1900-Pattern-Tailoring

この本は見る限り、当時のパターンを著者が現代風にアレンジを加え出版されたようです。
採寸・型入れ・体型修正・芯地構成・アイロン操作については、ほぼ書かれていません。
イラストとアレンジされたパターン中心の本です。参考書としては申し分ない内容です。
こちらの本は私の友人であるT君からお借りしました。ありがとう!


コチラの本から、1870年代のパターンとして紹介されていたものを古典的な現代的パターン例とし、おひとつ紹介します。







さて、3つの異なるジャケットのパターンが100年以上の時を経て集まりました。

更に、この3つを同寸に編集・トレースし、それぞれの違いをより明確に検証してみましょう。!
タノシイ!




ドウゾ!





まずは、冒頭で紹介した垣田幸男先生のパターンをトレースしてみました。
是を「1」とします。


ここで、ひとつ注意点があります。
垣田先生が創るジャケットは云うなれば空気を着る服。丸みとドレープ、しなやかさと柔らかさが共有する服です。
それには必然的に高度なアイロン操作の技術が必要不可欠となります。
今回、この企画においてアイロン操作について説明するのは非常に困難と判断し、読者の方にも見やすいようにとパターンを変更しました。
本来は身頃も袖もアイロン操作でイセて・伸ばして・追い込みまくりです。

ちなみに、袖のイセ量は上記で4.5センチ見込みとなっています。





続いてはコチラ



こちらは、1890年代当時のパターン例として紹介した図を左前にトレースしたものです。
うーむ興味深い。
白メシ3杯は余裕ではないでしょうか?
こちらのパターンを「2」とします。



ラストはこちら



最後は古典的な現代的パターン例とした紹介した図を左前にトレースしたものです。
こちらも説明のために身頃・袖を重ねました。
是を「3」とします。



さてさて、イヨイヨ楽しくなってきました。
小踊りしながら(深夜3時)投稿していますワタシ。デュフフ





それでは全てのパターンを重ねてみましょう。!!!!


以下、「1」を基とした基本寸法となります。
各パターンを見る参考にして下さい。

M(YA6)
Height 171
B 92
W 76
H 94
着丈 75
鎌深 21
袖丈 60



ドゾ!





どうでしょうか?
オモシロクなってきたでしょう?

とりあえず今回はここまでとします。
次回はより深くパターン検証をしてみましょう。その際は当時のイラスト・アドはもちろんのこと、実際の古着も交え、より視覚的にわかりやすくUPします。
ヤッパリ、当時の古着を見るのに超したことはありません。

また、実際に自分でシーチングを組んで着てみるとオモシロイ発見がたくさんあります。
特に「2」なんかは笑えてきます。胸がボーンって。


こんな風に当時のパターンと現代のパターンを視覚的にUPしているトコって中々無いですよね。
私が学生時代にまとめていた、こういった資料に興味を持ってくれる方が思いのほか多くいたので、WEB上にもUPしてみようと思い立ったのがこの企画のキッカケです。



そして、以前コメントをくれたH Bさん!返信したかったのですが、アメブロには登録しないとコメントが出来ないようなので、お返事が出来ませんでした。スイマセン。
今後、ピボットスリーブもまとめるのご期待下さい!アリガトウゴザイマス。!




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