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技術の壁が壊れるとき

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8月3日(土)に開催する「アパレル 3D ミートアップ」のチケットが瞬く間に売り切れてしまった。


私は以前「3Dによりパタンナーという仕事は終わる」とtweetをした。


今回、ミートアップに先駆けTwitterには収めきれなかった、ひとりのモデリストとしての考えを書いてみようと思う。


まず私が、さまざまなテクノロジーの中で 3Dモデリング に注視するのは「素人が技術の壁を超えてきた」と感じたからだ。

私は、これまでのファッションテックの文脈は、大きくみればアパレル業界内での利便性向上、技術の拡張に見えた。だから別段、怯える必要もなかった。

しかし、3Dに関してだけは、予期せぬ方向から右ストレートを喰らったかのように感じた。
ここまでは届かないだろうと、タカを括っていた鼻づらへの直撃だ。
いやむしろ、このリングに上がっては来れないはずの人間がスタスタと間合いに入り込んできた。
そして、その意味を理解する間もなく、失神KO。
そんな自分の姿が浮かんだ。


だって、服づくりを学んでいないグラフィックデザイナーが、プロのパタンナーに匹敵する型紙を3Dでつくり、実際に製品化され問題のないクオリティなのだから。
開いた口が塞がらなかった。


ミートアップで実際のパターンを見せることは出来ないが、近しいものを用意する。
果たして、そのパターンを見たとき、あなたはまだ安全地帯にいると思うだろうか?
近い将来、グラフィックを学ぶデザイン系の学生たちが、パタンナーという仕事を喰ってしまうかもしれない。


これは、当事者側からすれば恐怖だが、俯瞰してみればクリエティブな未来が見えてくる。
予期せぬ方向から右ストレートを喰らったのと同様に、私たちもクロスカウンターを決めるチャンスがある。ことにファッションのルールであれば足腰はこちらの方が数段強いはずだ。泥臭い殴り合いは、アパレルの得意分野だろう?

だがもちろん、殴り合わなくたっていい。
自分でリングをつくってしまうことも出来るはずだ。
私は、その方向性に挑んでみたい。

その為にフットワークを軽くしよう。手に職を持っているなら。




※追記
私は、これまで繰り返し「技術職こそ、抽象性を高めるべき」「技術で環境を越えることはできないが、思想は環境を越える」と言ってきた。
結果、そうすることが自分の技術を最大限生かせると思っているからだ。

しかし、今回の3Dでの事例を目の当たりにし、抽象性や思想がなくても生き残れる場合もあるなと思った。
ひとつ秀でた能力があるよりも、デザイン・パターン・縫製・生産と幅広くこなせる技術職が、より重宝されるのかなあと。


8月3日(土)の 半分解展研究所 で会いましょう。
興味深いイベントが盛りだくさんなので、ぜひHPにアクセスを。


イベント後記はこちら




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