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1mmダーツの謎・1

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やっとの更新デス。
毎度遅くて申し訳ないです。

「どこから話して、どこまでで終わらすか」が本当に迷いました。
どうしても袖のことになると熱くなってしまいます。

先日も、このブログにもチョイチョイ出てくる英○屋のK君と恵比寿の呑み屋で袖について3時間くらい討論しました。紙とペン持参で。
理屈じゃわかるけど、自分の目で見てみないと腑に落ちません。
次回はハサミとシーチング持参で呑みましょう。!
(このK君をいつかホルスの皆さんに紹介したいです・・・)



で、


今回「1mmダーツの謎」をUPするにあたり、いきなりコイツ↓


を、登場させてもワケがわからないと思ったので、小生がピボットやマチを設計する時に頭の片隅で気をつけているコトをかる~く紹介しようと思います。



今だからこそ、フリーハンドでピボットなどを引いていますが、学生時代はヤハリ立体裁断からの製図がメインでした。
なので、これから紹介する説明も、立体裁断の様な感覚的表現になると思うので、参考程度にドウゾ。




まず、ヤハリ何といっても大切なのはイメージです。!
自分の作りたい袖が、どんなスタイルの袖なのか?どんな表情にしたいのか?

自転車に乗りたい!ゴルフしたい!撃ちたい!とスタイルを想像するのが大切かと思ってます。



そんなスタイルを想像しつつも、ヤハリ平面的にどう製図するかな~どう縫おうかな~ってのも同時進行させていきます。
が、ゆとり分量なんかは後々、立体で見た方が早かったりします。


更に、マチやピボットを製図するうえで何とも曖昧になってしまうのが、腋点の位置。
これも大切なポイントになると思います。

ラグランスリーブなんかを製図する際も意識しますよね。
どんな、マチやピボットを製図していても腋点の位置はシッカリ把握しておくのが大切デス。!


ちなみに「1」の太線が前後腋点位置






そして、今回紹介するモノはズバリ「ハンティングジャケット」なので、スタイルはバッチリ決まっていますが、年代や土地、文化・美意識によって同じハンティングジャケットでも姿形が全く異なってきます。


こんかいはアメリカ・フランス・オーストリアから3つのジャケットをチョイスしましたっ!




コイツらを基にして、AH・袖下の構造を比べつつ、1mmダーツを紹介します。
今回は、ピボットとマチを総して、「ゆとり」と呼ぶことにします。説明的に。

ちなみに、真ん中のフランス君は以前紹介したコイツ
最後のローデンクロス君はコイツデス。



それでは、
ドゾ。!


身頃パターンは垣田さんの原型を使っているので、全く参考にしないで下さいね!
写真のジャケットとは全く違います。雰囲気だけで見てください。すいません。




まずは、アメリカのハンティングジャケットです。

ゆとりの位置が非常に高く設定されています。(マチがハメ込まれる位置です)
アメリカのハンティングジャケットは大抵コレですよね。

私は、コレを「鎌が浅い」と感じ取って設計してマス。
まあ、その辺の感覚は人それぞれとして、

ここで大切なのは「ゆとりが前後腋点よりも上又は同位置にある」と平面上で理解しておくコトかと思います。
もう、この時点でこのAHにはまってくるマチやビボットは、ほぼ限られます。



続きまして、



フランスのハンティングジャケットです。

先程のアメリカと比べ、ゆとり位置がとても浅いです。(ピボットの開始位置)
こちらは、「ゆとりが前後腋点より低い」とでも覚えておきましょう。


このジャケットは特にゆとりが少ないモノになりますが、フランスモノのピボットは基本的に「前ゆとり位置が前腋点より上にいく」と云うコトは、ほぼないと思います。
この場合、下山袖を倒さないと鎌深が大変なコトになるからです。


私はフランスモノのピボットは「前腋点」との勝負だと思っています。
コレは私の重要な課題です。私のピボットは上に行きます。あああ




で、ラスト3つ目



オーストリアのローデンクロスです。ロダンクロスとも云います。

ふーむ。コチラのゆとり位置は斜めです。(ピボットの開始位置)
私の設計するピボットに近い形です。

どれだけイメージを具体的に出来ているかで完成度がかなり変わってきます。
わたしの目指すスタイルは正にコレに近いデス。

バブアーやベルスタッフのピボットも是非、一度舐めまわすように見て下さい!
彼らはイイ仕事してます。


とりあえず、ここまでで3種類のゆとり位置(マチやピボット)と腋点の位置関係を把握しておけば、機能的なゆとり分量を求めやすいと思いマス。




で、





それでは、マチの形状に移ります。(今回はピボットの説明はハブきます。)
先程のAHのゆとり位置とマチは密接な関係があります。

製図する上で、マチをマチと考えずに「袖山」として感じ取ってみると意外にシックリくるかもしれません。
「ミリタリーモノには山が二つある」とは粕谷さんの言葉ですが、ウマイこと云っていますホント。



図にソレゾレのマチの特徴をまとめてみました。
(こんかいのテーマである「1mmダーツのマチ」はXに部類します)



どうですか?
この解りずらい図は!!!?泣きたくなります。すいません。マジセンス無くて泣けてきます。

とりあえず説明します。
スゲエ簡潔に云います。

X型ならアメリカのゆとり位置にY型ならフランスのゆとり位置に合わせたほうが、イロイロと都合が良いです。


X型はシャツスリーブ、Y型はテーラードスリーブが袖底にあると感じると解りやすいかも・・・


う~んヤッパ解りづらいです。
今回は1mmダーツが主役なので、この辺の説明の下手さ加減は許してください。
何となく流して下さい・・・嗚呼



で、


LODENはどうした!?
と云うことですが、ローデンのピボットをマチで表現するならば、コレがイイと思います。





「ナミダ型」です。
これで大体、写真のローデンスリーブの雰囲気は出せると思います。
このナミダ型、よ~く見ると何かに似ていませんか?

ラウンジスーツの下袖のくりにソックリなんですよ。くりにソックリ
もっと遡ると、1600年代のダブレット&ホウズ時代の下袖のくりにソックリなんです。くりにソックリ
時代は巡りますねえ。

何が云いたいのかと云うと、昔の袖は最初っから機能的な構造だったってコトです。
乗馬の歴史が見え隠れしますね。

1600年代のパターンも数種類はありますので、今後機会があれば紹介します。
その時はナミダのマチを思い出しましょう。!




ピボットにしてもマチにしても、袖の雰囲気を感じ取るのがとっても重要だと思います。
パっと見て、この袖はこんな製図だろうな~こう縫ったんだろうな~と想像出来ると満員電車も勉強会になります。この時期は良いコート着てるオジサマが稀にいますからね。

それぞれの特徴を見分けられれば、想像もしやすいと思います。


で、

ヤッパリ、
アメリカとヨーロッパのハンティングのAH・袖の特徴は正にコレだと思います。



AMERICA


FRANCE


AUSTRIA


AMERICA


FRANCE




この、「なだらか」と「かくばり」は正に文化と美意識の賜物です。

次回は、ヨーロッパから学んだアメリカがいかに「American Hunting Jacket」を確立していったかをAHや袖のパターンから見て行きます。

が、ソレはホントかるく紹介する程度にし、いよいよ「1mmダーツの謎」を紐解きます。!




いつもはパラッと読んで捨ててしまいますが、今回はあまりにも格好良いので思わずスキャンしてしまいました。!

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