「JACKET」っと云う洋服を見るときに、私はヤッパリ脇の下(鎌)や下袖のゆとりを見てしまう。こんな風に。
それは、機能的な面で私の理想があるからで、どちらかと云えばパタンナーと云う職業病の一種だと思う。ダメな傾向だと反省はするが、やはり気になってしょうがない・・・
大抵、お店にズラァ~~~っとジャケットが並んでいて、素材・色・シルエットを反射的にチョイスして1着引き抜く。
普通、最初に目が行くのは衿やラペル、バスト辺りだと思う。
脇の下をハァハァしながら見ているのは傍目からは奇異に写るのだろう・・・。
それは、機能的な面で私の理想があるからで、どちらかと云えばパタンナーと云う職業病の一種だと思う。ダメな傾向だと反省はするが、やはり気になってしょうがない・・・
大抵、お店にズラァ~~~っとジャケットが並んでいて、素材・色・シルエットを反射的にチョイスして1着引き抜く。
普通、最初に目が行くのは衿やラペル、バスト辺りだと思う。
脇の下をハァハァしながら見ているのは傍目からは奇異に写るのだろう・・・。
で、
今回は、「衿」を紹介したいと思います。
衿にこだわりを持っている人は結構多いのではないでしょうか?
私にも好きな衿がたくさんあります。
まず、2つのジャケットを見比べて頂きたいです。
1つめはコチラ。
↓
「Coachman's Coat」「Coachman's Frock」と呼ばれるコートです。シングルフロックなんて呼ばれたりもします。
どの様な人に着られたコートか正確に解っていません。ちょっと自分の中では曖昧です。
「Mainland Guardian」と云うイギリスの新聞の1887年11月31日の記事に「Carlisle's Coachman's Coat」と見出しがあります。辞書片手に訳してみます・・・
2013/9/23追記。!
こちらのコート、お屋敷に仕えるお手伝いさん(門番とか)が着ていたそうです。
追記ここまで。
2013/9/23追記。!
こちらのコート、お屋敷に仕えるお手伝いさん(門番とか)が着ていたそうです。
追記ここまで。
↑2つめが、コチラの「3b Sack Coat」
こちらも上のコーチマンズコート同様に~1890年代くらいだと思います。多分、フランス製です。
コットンモノのジャケットは年代の特定がなかなか難しいですが、私は迷った時はデザイン云々よりも、型紙に見られる時代背景、ホール・グリカン・折り伏せの始末・袋布の仕様・衿の処理などから判断しています。
デザインは真似出来ても、型紙・仕様・始末を真似するのは非常に困難だからです。
と、まあ、
この2つを選んだ最大の理由は、「衿がどの様に見えるか?」です。
基本的に、ヨーロッパモノの1910年代くらいまでの洋服達は仕立てられているモノが多いです。
まつりやハ刺しなどの手作業が、スーツからワークモノまで幅広くみられます。
以上のコトを踏まえ、衿を見てみます。!
まずは、コーチマンズコートの衿
↓
サックコートの衿
↓
パっと見て、どう感じるでしょうか?
私が気になるポイントに案内線を引いてみました。
まずは、黒線。
上記を比べると、コーチマンズは衿が「くの字」に折れ、首に吸い付くような形になっています。100年以上経っても尚。!
そして、サックは衿が直線的で首から離れています。
赤点線を見てみると、コーチマンズはサイドネックまで首に吸い付きつつ、そのままラペルに流れて行きます。
サックは首から遠く離れ、正面から見ると首が太いような、間が抜けている様に感じます。私個人的に。
これは、ひとえに衿の構造による変化だけではなく、この時代の着込みが多い=天巾が広いパターンと衿が相伴って、見られる現象です。(特にフロントボタンを閉じた際に)
つまり、
私は、この時代の丸みがあるパターンで、フロントを閉じ衿を立てて着こなした際に、衿は首から抜けず色気を漂わすジャケットが好きだ。!作りたい。!嗚呼ッ。!
ただそれだけです。
しかし、全てのジャケットをそう見せたいワケでは、ありません。
例えば、デニムのカーバーオールが吸い付いていても、滑稽に見えてしまう気がします。
その洋服のルーツや歴史を後世に引き継ぐように、敬意を払って作りたいです。ホント。
ただそれだけです。
しかし、全てのジャケットをそう見せたいワケでは、ありません。
例えば、デニムのカーバーオールが吸い付いていても、滑稽に見えてしまう気がします。
その洋服のルーツや歴史を後世に引き継ぐように、敬意を払って作りたいです。ホント。
他の古着達も見てみましょう。
ドゾ。
↓
衿腰を見て下さい。とても「くの字」です。なんだか、エロくないですか?
フェティシズムを感じるのは私だけでしょうか・・・?
なんか、もう、ため息がでます。
この写真だけで、この洋服のバックグラウンドが見えてくるような気がします・・・
そして、とても「くの字」です。嗚呼、
この前側から見た際の表情がとても好きなんです。
返り線までは首にスッっと吸い付き、そこからサッっと衿が立ち上がる。
「スッ」「サッ」で引き締まって見えます。
逆に、ネックが抜けてしまうと、可愛らしい印象になりがちです。
基本的に私は可愛い服が好きですが、要所々々では「キチッ」と作りたいのでスッ。サッ。
このサック、とても可愛いです。
ちなみに、このサックコートは私の後輩、五十嵐クンが勤める会社の社長のです。(流れ々てここに着ました)
こーゆージャケットならば、吸い付いた衿よりは、こんな衿の方が雰囲気に合っていて、上品に思えます。素材感・シルエット・デザイン全てに柔らかい統一感をかんじます。
コットンモノですが、多少はクセ取りされている様です。地衿は相変わらずハギハギです。
このダブルブレストは本当に奥が深いです。かなり複雑でマニアックに仕立てられています。是非、今後紹介したい古着です。
このダブルブレストは本当に奥が深いです。かなり複雑でマニアックに仕立てられています。是非、今後紹介したい古着です。
コイツはエリ云々よりも、その肩傾斜に驚きです。
なで肩の古着はたくさん見てきましたが、コイツがダントツでなで肩です。
なんとかボディに着させていますが、普通に着ると、ひどい月ジワが出ます。
で、
先日、地衿を作ったので、その工程をUPします。
衿のデザインは、ホリゾンタルカラーです。テーラードカラーでもステンカラーでもありません。
そして、衿付けは完全ハンドでやります。「かぶせ衿のゴージはしご、裏地後のせ」ってヤツです。やっぱり、この方法がどんな衿でもキレイに付きます。
そんな衿つけをするにも関わらず「くせとり」は一切せずにいきます。
イメージで云うと、下記画像の「スッ」「サッ」の「キチッ」とした衿を目指しました。
地衿は6分割させました。古着達のハギにもいろいろ意味があります。月(バナナ)の展開だったり、用尺だったりと。
コイツのハギは、月の展開と+αのギミックを仕掛けています。デュフフh
使用する芯は麻芯です。
前回の「the cutter & tailor MORNING COAT by Saks」でも麻芯について少し触れました。
この麻芯もいわゆる衿芯とは違い、織りも甘く柔らかいです。
それぞれのパーツごとに麻芯をカットします。
厚み軽減の為に、芯のみは展開したパターンでカットされているのを古着でもよく見ますが、今回は+αの為に重ねて裁断しました。
そして、2種類のテープを使います。(その辺にあったヤツ)
半分出来ました。
サイドネック付近では、ダーツをつまんであります。
そして、斜めに走るハギには縫い目を利用したホールをさり気なく開けました。ほとんど気が付かないと思います。+αはこのホールです。
裏側です。縫い代は段差になるように整えておきます。
そして、BCにコハクテープを噛ませます。BCにもシームホールを開ける為です。しかし、地の目がバイアスなのでテープで伸びを防ぎます。先ほどの斜めのシームホールは丁度、地の目が通るように設計してあるので、テープは省いています。
全て上がり寸でカットされていますが、衿先の付けだけには1cmの縫い代を付けておきました。
実験的な衿付けをするので、この様な変則的な形になります。
シームホールを作りつつBCを縫いあげました。ここでまたテープの登場です。
ここからのテープ使いは、既製服でよく使われるテクニックだと思います。使用するテープの種類や止め付け方は違いますが、狙いはほぼ同じです。
返り線の真下を狙ってテープをたたいていきます。
サイドネック付近で一度、縫い止めます。
サイドネック~センターバック間で半身6ミリ程テープで吊りました。
霧吹きで湿らせ、そのままイセ込みつつミシンで走ります。
厚手のコットンですが、バイアスなので比較的かんたんにイセ込めます。
後は、返り線に沿ってバチッっとプレスします。
立体的な衿をこんなにバチッとプレスしていいのか?と思うかもしれませんがO.K.です。
今回、紹介している地衿の作り方は、19世紀後半~20世紀初頭の古着に良く見られる衿をお手本に、ちょいとアレンジして制作しています。
現代では八刺ししつつ、クセ取りしつつ、バチッっとプレスします。→地衿付けbyオカンあかん
上記画像のようにペタッと平面的になってしまっても、衿の形にすると立体的になります。
↓
いやらしい「くの字」が出来ました。本当にいやらしい。
古着と同じくらいいやらしい衿です。嗚呼いやらしいホント。
吸い付きも、こんなモンでO.K.だと思います。縫い上げると、それなりのゆとりが出来るので、今はテキトウに確認しておけば良いと思います。
そして、ジグザグステッチを走ります。
本来ならば、先に走っておくべきステッチですが、今回はシームホールを作った為にこのタイミングに落ち着きました。
まずは「台」の部分から一筆書きで走ります。
衿の立体感を殺してしまわぬ様に衿を立てながら、注意しつつ走ります。
ミシンの落書きは気にしないで下さい。会社ではなく自宅で縫っているので、思い出の詰まったボロいミシンなのです。
「裸のラリーズ」「INU」「DMBQ」「浅川マキ」とかイロイロ書いてあります。
一筆でばああああああああああっと。
台にいれたら、次は羽にステッチを入れます。白チャコでどんな模様を描くか下書き中です。
と、まあ、大体こんな感じで地衿を制作しました。
ホンモノのテーラーの様なアイロン操作は一切使ってないです。この後の、かぶせ衿も外回りに地の目を通すなどはせずに月を入れてしまいます。が、衿付けはフルハンドでやります。
私は、「くの字」の衿を、立てている姿がだいすきなのです。
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2013年夏 追記
もっと良い衿がつくれるようになりました。
現在は縮める衿はつくりません。伸ばす衿をつくっています。
長時間着ると、後者の方が圧倒的に良いです。
追記ここまで
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2013年夏 追記
もっと良い衿がつくれるようになりました。
現在は縮める衿はつくりません。伸ばす衿をつくっています。
長時間着ると、後者の方が圧倒的に良いです。
追記ここまで
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ね?
かっこいいでしょう。って被写体補正もだいぶありますが・・・
Phrto by The Sartorialist & JAK&JIL
ちなみに「JAK&JIL」は本当に復活してくれて良かった。!一時期、真っ白になった時は本当に悲しくなりました。私の1番好きなストリートスナップサイトなので頑張って欲しいです。
ここから、雑記。
3連休のウチ、2日はずっと家に篭っていました。おかげで、袖・身頃は出来ました。が、芯据えをミスって全部ほどきました。泣けました。
芯据えも19世紀頃の古着にならってクンニョと共にやってます。
で、3日目は彼女に「篭ってるなんて陰鬱だ。根暗だ。キモイ」等、罵倒され六本木にスパイダーマンを観に行きました。特に感想はないですが、六本木ヒルズのKAPITALに初めて行けました。
これで、都内と岡山のKAPITALは全て制覇したと思います。!やっぱりKAPITALかっこいいです。大好きです。
年に4回ほど平田社長とお話する機会があるのですが、毎度とてつもないパッションを受けます。KAPITALの原動力はこのパッションにあるんだろうなあ。と感じます。
おわり。