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あの日、言葉の渦に呑まれていった

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独立前夜、私は自分の環境に嫌気がさして、積極的に異業種の人たちと交流を持っていた。


独立をした2016年がそうだった。

在籍する会社が嫌だった。大きくいえばアパレル業界が嫌だった。

そんな時になぜか惹かれたのは、広告業界で働くひとたちだった。
イラストレーター、広告代理店、コピーライター、広告デザイナー、プランナー、エンジニア、インフルエンサーetc...

彼らになんだかとっても惹かれ、興味が湧いた。
アパレル業界にはいない、SNSの向こう側にいるような不思議な人物像に触れたくなった。

私はFBなどを駆使して、そのようなコミュニティに潜入した。
彼らは入り口を大きく開いていたし、異業種大歓迎のウェルカムな場だった。

彼らの交流会(飲み会)に参加することは、アパレル業界の技術者として生きていた私には驚くべき世界だった。

私は、勤める会社の飲み会なんて参加したことなかった。
打ち上げなんて本当に大嫌いだった。

だけど、彼らの世界には進んで足を踏み入れた。
なにか未来があると感じていた。

そして、そこで生きた言葉を知った気がする。

「○○バズってるよね」と、生の言葉で聴いたとき、私は思わず耳が赤くなり体温が上がっった。
今では当たり前かもしれないが、当時ネットスラングだと思っていた「バズる」というワードを現実世界で当たり前のように使っている状況に、度肝を抜かれたのである。

そのような場所で、私は稀有な存在だった。
アパレル技術者なんて毎回私ひとりだけだからだ。

彼らは、興味津々に私に声を掛けてくれた。
「今日、着ている服は全部自分で縫いました」というだけでヒーローになれた。

その場にいるみんなが、大いに楽しみに、そして当たり前のようにビジネスをしていた。
あまりにも強く、あまりにも力強くビジネスをしていた。
これには強く心打たれた。美しいとも感じてしまった。
馬鹿話しをしていると思っていたら、自然に打ち合わせになり予定を決めている。

目に映るすべての光景が新鮮だった。

あの日、ひとりのコピーライターさんと話しをして、私の人生は好転した。
その方に「言葉をデザインする」という意識を植え付けられた。

私がいう言葉を、その方は瞬時に何通りも言い換えてみせた。
それはごく自然に、息を吸って吐くように、言葉をデザインしていた。

SNSに書く、わずか数文字が人生を変えることを教えてくれた。

もし、このBlogを読んでいるあなたが、独立を考えているアパレル業界の人ならば、一度、景気の良い業界の人たちと交流を持ってみるのも如何だろうか。

私はガツンと視界が開ける気がした。
地に足をしっかりと着けていけば、なにも怖いことはないだろう。

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