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分解・再構築

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年明け早々に納品したものですが、そのレポートを。

こちらは、以前に書いた袖が自立する生地でのジャケットです。

元々、依頼主の私物のVintageがあり、そのパターンを基に、Vintageの蝋引きキャンバス地(ww2)を乗せて製作しました。
もちろん古着丸抜きではなく、補正をかけています。
ただ今回は、上半身の補正以外は、ほぼVintageのラインを残しています。なので非常に独特なバランスに仕上がりました。


ラペル表は、見返し高片倒しST。


しかし、裏は地衿高片倒しST。

古着は、表裏コバSTを1針も落とさずにブチ抜きでSTをしていました。縫製難易度はかなり高いですが、もちろん1針も落とさず仕上げました。
蝋引き故に針穴は消えませんので、失敗は許されません。 STウラの花咲きも目立つので、各折り伏せSTは、全て表から打っています。


Vintage独自のディテール。 ラペル釦。
些細な点ですが、この様な発見があるのが、古着の面白いところです。かわいいです。


蝋引きの糸でシャコカンループをつくっています。 大胆なジャケットですが、キモは繊細な手仕事に頼ります。


古着から学んだように、仕上げ方にも気を遣います。 
衿芯は上がりでCUT、縫い代は段ざらいします。

完成後も、やはり自立します。 バキバキです。



そして、もう1着納品しました。
こちらは、いつもお世話になっているサプライズとして差し上げました。


フレンチモールスキンを代表とするヨーロッパヴィンテージの型紙を、何度も深化させてつくった、私のお気に入りのパターンです。

こちらも衿に特徴が。


フレンチワーク系に良く見られる「折り伏せ付け」の衿ですが、 独自のやり方で、薄くスッキリと仕上げています。

折り伏せ付けの衿は、表も裏もバイアスに裁断しなければいけません。 ラペルが返った時に見える衿付けのWSTが愛らしいヨーロッパヴィンテージ独自の縫製方法です。

また、各ハギ目の縫製は、先の自立するジャケットの折り伏せ縫いとは違い「1/4環縫い」を採用しています。 所謂「巻き縫い」という裏目がチェーンになる縫い方です。
狙う表情によって使用するミシンも変えています。


ただ、一番、苦労したのは、裁断でした。
Vintageのガチガチリネン素材のスモックを2着バラして、このジャケットを製作しました。


インレイ(マーキング)に気を遣いました。
細かいパーツは、袖などを開いて取りました。
なので、色んなところに不思議なハギ目が出来てきて、それがデザインとなっています。


1900年初頭のリネンスモックを分解。

2着のスモックから、新たに1着のジャケットが生まれた。

今回の様な、特殊なオーダーも喜んで受けています。
Vintageの生地持ち込みOK。デザイン持込みOK。1点モノから量産の手配まで出来ますので、ご興味あれば、ご用命をば。


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