2015/11/25

H.KAN

| | 2 コメント

「長谷川くんのお任せで」


私が収集している古着は、大抵の場合、古着屋で購入したものより、ディーラーやコレクターの方から直接アポが入り、私の手元にやってくることが多いです。

そんな中、稀に「お直し」のアポイントを受けることがあります。
私が仲良くさせて頂いているディーラーの方々は「変態」と辞書を引けば、彼らの名前が挙がる程にどうしようもなく、どうしようもない人達で。。。
相談される「お直し」も身震いするような、とんでもない代物です。

そうして、さらっと云うのですね 「長谷川くんのお任せで」 と。


今回、引き受けたものは、アイテムとしては、そこまで難しいものではなく、お直し内容も「袖丈詰め」と比較的、容易な依頼でした。


しかし、いざ取り掛かってみると、やはり引き込まれるのですね。
当時の丁寧な仕事振りや、現代では廃れてしまったディティールなど。 良き教科書です。

今回のジャケットなどは、その好例です。 もう、このまま分解してしまいたくなりました。


例えば、 IDGの退色に合わせて糸を加工したり、クンニョで前肩をつくり直したり、わざとジュートを噛ましてパッカリングを出したり、経糸撚って刺し子をうち直したり・・・

一般的なお直し屋さんでは出来ない「ヤレ感」や「アタリ感」のような、感覚的な部分を大切にして、修理をしています。


そして最近良く考えるのが、当時の思想や文化です。
これまでは、主に型紙やビジュアル中心の本を読むことが多かったのですが、最近は19世紀の風俗や歴史関係の書物に目を通す機会が多くなりました。

すると、同じ洋服が、また違ったモノの様に見えてくるんですね。 それが新鮮で面白い。。。


そういったキッカケは、やはり中野先生の影響が強くあります。
初セミナーの際、参加者の方から頂いた 「思想と共に考えて見てはどうか」 と云う質問は、いまもぐるぐると頭の中を回っています。

そんなこんなで、袖丈詰め 完成です。
どうです。?素晴らしい古着でしょう。

ちなみ、こちらドイツ ライプツィヒのテーラー「H.KANNEWORE」のダブルブレストです。
推定1920~30年代でしょうか。

こちらの持ち主曰く 「ここまで美しいシルエットに出会ったことがない」 との事。
確かに、その通り。素晴らしいシルエットをしています。
30年代に生まれた黄金比「砂時計」のラインを描いています。


2面体2ダーツですが、特徴的な位置にダーツが流れます。 後身に近い方は、極細の細腹のように見えてしまいますね。

さて、
おまけに推定1930~40年代のドイツのダブルブレストも紹介します。

こちらは、後輩の私物でして、フランス旅行の際に蚤の市で購入したそうです。 (勝手に掲載してゴメンね)
釦は樫の木に付け替えていますが、オリジナルで付いていたのは、先のダブルブレストと全く同じ釦だったそうです。
付属も仕様も非常に酷似しており、もしかすると H.KANNEWORE製なのかもしれませんね。

ドイツのスーツは非常に興味深い研究材料です。

下記はカッターアンドテーラーの芯地のトピックで大きく話題になっていたドイツの芯地の構成。




そして、最後にH.KANNEWOREの1906年の広告を。


もしも、大切な古着のお直しで悩んでいる事がありましたら、何なりと私までご用命をば。

2 コメント:

  1. 匿名26.11.15

    1920~30年代、激動の時代ですね。その頃のドイツ、、、現代でイメージする国とは違っていたのかもしれませんが、お洋服は別。今みたいに簡単に安く良さげな服が作れなかった時代のものは、日本も含めて本当にしっかりした作りをしていますし、作り手や持ち主の服に対する愛情や執着を感じられるものが多いですよね。
    私は、ちょっと前まではアパレル(レディース)に居りましたが、現在は訳あってそれを志す子を指導する立場におります。
    こちらのブログは、過去のものを含め、本当に勉強になっております。
    これからも期待しております。お仕事、それにつながる遊び、ブログ、諸々がんばってください!!

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    1. 匿名さま
      コメントありがとう御座います。
      ドイツの古着は、ww2ナチの影響でバイイングが非常に困難を極めるそうです。
      しかし、独自のルートで仕入れてくる この人達は本当に恐ろしいです。笑

      現在、指導する立場にあると云う事で、日々さまざまな葛藤があることを察します。
      教師の友人が数名いますが、技術を伝えることよりもコミュニケーションで四苦八苦している様子です。

      等Blogが少しでも、気晴らしになるように、今後とも変な投稿をブチ込んでいきますので、よろしくお願い致します。!

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