ミリタリーに特化したパターン研究家である森部 有貴のプロダクトが初展示される。
1stコレクションは、1950年代~1990年代にかけて英国海軍が使用した「Royal Navy Ventile Smock Parka」が1点のみ。
彼が所有する実物、彼が引いたパターン、そして製品化したプロダクトが展示され、受注も可能だ。
私の母校であるESMODは小さな学校だった。
3学年いる生徒の顔は、それなりに全員覚えてしまう。
廊下で知らない人を見かければ、外部の人だなと何となく解ってしまう。
それくらいコンパクトな規模感の中、さらに少数派なのが「メンズ専攻」だった。
ビスポークスーツを専門的に学ぶ、マニアな生徒は極僅か。
両手足の指で数えきれてしまうほどだ。
森部くんは、メンズ専攻の後輩だった。
在学中に会話した記憶はなかったが、男前な顔は見覚えがあった。
だから卒業後、7年ぶりにとあるイベントで話しかけられた時は、特に違和感もなく「久しぶり。元気?」と会話が弾んだ。
その時に、彼から見せられた一冊のポートフォリオを、私は鮮明に覚えている。
左のページには、彼が少しづつ集めたというビンテージミリタリーウェアの写真が幾枚か納められ、
右のページには、彼がそのビンテージを基に起こしたパターンやトワルが、彼の性格を表すかのように端正に編集されていた。
10ページほどのポートフォリオだったが、1着1着が丁寧にまとめられ、非常に濃い内容だった。
美しく整えられたパターンを見て、私は嫉妬すら覚えた。
「半・分解展に影響されたんです」と言われ、襟を正した。
それから1年が経ったある日。
ふいに、森部くんから連絡が入る。
「初展示をします」と。
続けて、トークショーにゲストとして参加してくれないかと。
もちろん二つ返事で承諾した。
私は、彼の表現に興味があるし、見てみたい。
森部くんは、大手企業に勤める現役のメンズパタンナーだ。
つい先日も、ウェブの記事で活躍する姿を見たばかり。大きな組織のなかで、自分の強みを活かし、彼らしい製品をつくっていた。
そんな彼が、初めて個人として自らを表現するのだから、私は出来る限り力になりたい思う。
「DOCUMENT」
トークショー 服の在り方とは
・開催日 9月27日(金)18時スタート
・会場 ハウス@ミキリハッシン
東京都渋谷区神宮前5丁目42−1
・参加方法 下記ミキリハッシンのアドレスにお申込みください。
info@hassin-tokyo.com
お名前とご参加人数、お電話番号をご明記のうえ、送信ください。
・登壇者
パターン研究家 森部有貴
ハウス@ミキリハッシンディレクター 山口壮大
ゲスト 衣服標本家 長谷川彰良
また、DOCUMENTの展示受注会は、ハウス@ミキリハッシンにて9/26(木)~10/1(火)の期間行われる。