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忘れられた糸

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9月7日(土)に半分解展研究所 愛知を行う。


イベント開催にあたり、私自身とても楽しみにしているのが「分解布」だ。
(ぶんかいふ と読む)

私は、半・分解展を全国巡回する中で、非常に興味深い職人や研究者に出会うことができた。


例えば、愛知県一宮市で100年続く機屋「葛利毛織」に勤める若手職人の上村くん。
彼とは2016年の名古屋展で出会った。
当時まだ学生だった彼は、機織り職人となり、半・分解展オリジナルの生地をつくってくれた。

2018年の福岡展で出会ったのは、池永さんだ。
蚕に狂っている彼女は、半・分解展の会場で、おもむろにバックの中から数種類の蚕の繭や真綿を取り出した。マジヤベエヤツだった。
強烈過ぎる個性を放つ池永さんには、私が所有する約200年前のシルク素材を分析してもらっている。


分解布では、上村くんと池永さんに、100年前、200年前の布や糸を分解し、見えてきたものを話してもらう。
そして、そこから私たちが生み出したものや、生みだそうとしているものを伝える。


池永さんには、現在3種類のシルクを分析してもらっている。
どれもフランスのシルクだ。

ひとつは、1780年ごろの黄金色に輝くアビ・ア・ラ・フランセーズ。
フランス革命が起きる前の衣服だ。


そして、1850年ごろのサックスブルーのアビ・ア・ラ・フランセーズ。
恐らく生地は1800年初頭に織られたものだ。


最後が、1870年ごろのピンク色の女性の上着。
分析を進めるなかで、染料に特徴がみえてきた。


上記3点の分析結果のシェアを行うと共に、シルクや蚕の歴史も紹介する。
また、品種別の繭や真綿に実際に触れるワークショップも行う。
指先で風合いの違いを味わえるまたとない機会だ。


池永さんのプレゼン後は、上村くんに半・分解展オリジナルの生地を解説してもらう。


紹介するのは、裏地と表地だ。
フランスの150年~200年前の衣服を分析し織っていった。


上記写真は、ユサールやドルマンと呼ばれる、騎兵隊が着用した衣服。
その裏地を再現し織り上げたものだ。
触れれば、その独自の触感に驚くだろう。
現代の裏地とは全く違う「ザラザラ、ゴワゴワ、カサカサ」した手触り。
不快が交わり、快となる触覚のノイズだ。


そして、9月7日の分解布で初・お披露目となるのが、約200年前のフランス革命直後に生まれたリージェンシーテイルコートの表地だ。

この表地は、まだ開発途中である。開発から1年半が経とうとしてる。
織りの工程、加工の工程さまざまな方法を試しているが、目指す風合いは遠い。
私は、ヒント探るべくオーストリアのはずれシェルトベクという町を訪ねた。

当日は、現段階でベストな状態である「試織」をお見せする。
なんてことないウール生地に見えるかもしれない。
しかし、私が見出した感動は目には映らない、触覚で感じとるしかないのだ。
触れるごとに少しづつ顔を覗かせる違和感が、貴方を困惑させ魅了するはずだ。


分解布への参加には、チケットが必要となる。
チケットは残り10枚。
8/18(月)までが2,000円。それ以降は2,500円に値上がりする。

旧き西洋の糸や布に興味ある方には、ぜひ参加していただきたい。
チケットはコチラから購入可能だ。

半分解展研究所でお会いできることを楽しみにしている。



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