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快楽の継続

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私は「好きなことをやる意味」を子育てから見出した

私は、子供との穴掘りを「自分の人生そのもの」だと思ったことがある


例えば、砂場での人気者は、どんな子だろうか

色とりどりのショベルカーやダンプカーのおもちゃを持った子は、目立つ
みんなその子のおもちゃが気になって仕方がない


なにも持っていない私は、なにができるだろうか

私は、穴を掘る
自分の足元を、ただ掘り始める


穴掘りは、孤独だ


穴を掘っている最中は、誰にも見向きされない
木の根っこや大きな石に、掘り進めることを拒まれる
爪のあいだに砂が入り込む、着ている服はどんどん汚れる


それでも私は、穴を掘り続けることができる

好きだから、信じているから、手を止めない


初めのうちは、狭く深い穴だ
自分の好きな穴しか掘れない

しかし、掘り進めると、あることに気付く

深く掘れば掘るほどに、穴は広がり大きくなる


周りの壁が崩れ、せっかく掘った穴に土がかぶさる
土をどけて、また掘り進める
そのときにはもう、一回り大きい穴になっている


この繰り返しでしかない
好きじゃなきゃ、できない


そして、ある時、突然、声をかけられる

「こんなに大きな山、初めて見たよ」

穴を掘っている最中は、まったく気付かなかった


私のとなりには、大きな山が積み上がっていた

他者に指摘され、はじめて自分の山の存在を認識する


山が、子供たちの目にとまる

遠くから穴は見えないが、山は見える


子供たちはショベルカーのおもちゃをほっぽり出して、山に駆け寄ってくる

山に惹きつけられ寄ってきた子供たちは、また驚く
山と同等の大きさの穴が掘られていることに

その穴に、スッポリと身体を入れて子供たちは遊ぶ

子供たちと一緒に、さらに大きな山をつくる
穴はもっと深く広くなる
深いところにある土は、よく固まるから山をつくるには持ってこいだ


ふと顔をあげると、私と同じように、穴を掘りはじめる子もいた




これが「好きなことをやる意味」だと、私は思う

私は、砂場で子供たちと穴掘りをするように生きていきたい

子供たちから教わった生き方だ

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