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袖の100年史

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長谷川の主宰する、服づくりラボ「デミ デコ ラボ」の説明会開催(8/15)まで残り1週間となりました。



前回の投稿では「私が伝えたいのは技術じゃなくて感動なんだ!」と意気込んでいましたが、「冷静に考えて、具体例を挙げなきゃいかんな」と思った次第です。


私の伝えたいことを文面で表現するのは難しいです。
何故なら「100年前に廃れた着心地」を伝えようとしているから。

しかし、リアルの場であれば、頭で考える前に身体が理解します。
「この着心地は異次元だ」と。
だからこそ、受講希望者は説明会に参加してほしいのです。

一例として、半・分解展の会場では、現代のスーツを「静のスーツ」100年前のスーツを「動のスーツ」と表現して展示しました。これは私が勝手にそう呼んでいるだけです。

静のスーツとは「静止に伴う美しさを持ったスーツ」
動のスーツとは「行動に伴う美しさを持ったスーツ」という意味合いです。

およそ第一次世界大戦を境に、見た目は変わらず構造だけが大きく変わっているのです。
この特徴はメンズ/レディース問わず、国を問わず、見られます。
もちろん、そうなった理由がありますがそれは説明会で。


動のスーツの特徴は名前の通り、異次元の動きやすさです。
それなのに、後身頃にはゆとりが一切無いのがポイントです。
肩に「イセ込み」なんてものはありません。

この、動のスーツの特徴を応用すれば、現代とは全く違うアプローチで「細身なのに動きやすい洋服」がつくれます。それも異次元の、です。


現代に応用すべき、動のスーツの特徴を2点挙げます。


1つに「袖のすわり が非常に高い」点です。
すわりとは、袖の造形が始まるポイントのことです。

すわりが高いとどうなるか?
袖山が低くても、立体上は高く見えるのです。

極端にいえば、シャツのような袖の設計でも、立体上ではテーラードスリーブのように見えます。
シャツの運動量を兼ね備え、テーラードの見た目を持つ袖。ということですね。


2つに、「下袖に三角の面ができる」点です。
この面こそが、異次元の運動量を生みます。

腕を動かしやすい服をつくるのに、肩のイセを増やすだとか、背中のダキを大きくするだとかはハッキリ言って無駄です。
そんなことをするよりも、面のある袖をつくることが、遥かに運動量へのアプローチに長けています

この袖は、下袖にマチを製図するといった方法ではありません。
あくまでも、普遍的な袖の設計から生まれる面なのです。


上記2点の、最も解りやすい例が250年前の服「アビ・ア・ラ・フランセーズ」です。

この袖の美しさとはなんでしょう?
私は、この美しさを言葉と構造で説明することができますが、そんなことよりも、私は「洋服」というものを扱っている以上、貴方に袖を通してもらいたいのです。身体で感じてほしいのです。

それが 半・分解展 であり、その先を言葉と構造を用いて伝えるのが デミ デコ ラボ です。

半・分解展では断片的にしか伝えられなかった古き洋服の魅力を、ラボでは実技実践を交えて、現代の服づくりへの応用方法までをお伝えします。
パターンのみならず、縫製・アイロンの技術もです。

ラボでどのようなことが学べるかは、説明会で話させていただきます。
参加希望の方は、前売りチケットをご購入ください。
下記日程をクリックすると販売ページに飛びます。

8/15(水)11:00~13:00
8/26(日)14:00~16:00



2012年の投稿を見返すと、今と全く同じことをしていました。
私は、私が体感した美意識のみを伝えたいと思います。



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