尾作隼人氏のビスポークパンツセミナー関西編が決定しました。!
京都女子大学の協力のもと数回に分けて、尾作隼人氏のビスポー クパンツの真髄をレクチャーして頂きます。
京都編 第1回目は3月12日に、京都女子大学で行います。
昨年は、毎回キャンセル待ち状態で大人気だった尾作氏のパンツセミナー。
参加希望の方はコチラからご登録下さい。
第1回目は、尾作氏のパンツの考え方・理想のフォルムを説明頂き、それに基づいた
型紙・クセ取りのテクニックを着せ付けまで交え、尾作さんの独創的な型紙補正理論を
実演しながら説明して頂く内容となっております。
さて、今回の更新は、昨年末に行われたパンツセミナー東京編 第4回目のレポ ートになります。
いよいよ後半戦に突入し、ほぼパンツの形が出来上がってきました。
しかし、ここから細かな手作業を駆使した仕上げ作業が待っており、完成まではもう少し時間が掛ります。
ビスポークらしい延長されたベルト。
この部分も外内の差寸を付け、自然にインカーブするように仕上げています。
タテの縫い代もロックミシンは使わず、手縫いで柔らかくからげていきます。
尾作氏と視る100年前のパンツ
さて、第4回目は ブレイクスルータイムとして、 長谷川私物の1900年初頭のパンツを題材に100年でパンツの 設計はどの様に変換していったのか?考察してみました。
象徴的な謎のハギ
私が着目したのは、この年代のパンツに良く見られる「後の股下やウエストに設けられるハギ目」です。 皆さんもきっと、古着で見たことがあるでしょう。
このハギは、当時の型入れの図を見ても確認できます。
右上の後パンツを拡大してみると・・・・
上図のAは股下にハギが。そして、Bはウエストにハギが入っています。
製図を見る限り、どうやらお腹が出ている体系補正がされているので、生地用尺が足りなくなったのでしょう。
突出した部分を削ることにより、生地を節約する努力が伺えます。
しかし、それ以外にも思わぬ効果を発揮してくれるのが、このハギの特徴です。
一体どういう事かというと・・・
アイロン操作を手助けしてくれる謎のハギ
大抵の場合、パンツの尻ぐりにはサイズ調整の為にウエストにかけて3~4cmの縫い込みを付けます。
この縫い込みが、実は非常に厄介なんですね。
上図の赤点線は、アイロン操作後の縫い代位置です。
赤点線のように縫い代を倒すとき、特にインカーブの外回り寸法が不足してツレの原因になります。生地によっては、アイロン操作だけで倒すのは中々、難しいです。
さらに、古いパンツはハイバック仕様が多いので、腰の部分で1度インカーブになります。
股下以外にも、注意が必要です。
そんな時にハギ目があると、アイロン操作の補助として大きな力を発揮してくれます。
地縫いを上がりから3mm程で止めておき、縫い代を開かせておくのです。
そうすると、縫い代が自由になり、動きが格段に良くなります。 このテクニックは、ジャケットの首・肩まわりにも有効です。
以前、私が製作したバリバリのキッドモヘアのパンツも股下にハギを設けました。
アイロンが効き辛い厄介な素材でしたが、縫い代が開き、綺麗にズバッと割ることが出来ました。
ビスポークらしく股ギリギリの寸法で設計しているので、縫い代が綺麗に割れ、股にはまったパンツは、機能性と足長効果が両立できます。
さて、第4回目の尾作氏セミナーは、こんな寄り道をしつつ、進行していきました。
京都セミナーにも何処かで顔を出せたらいいなあ・・・
東京でも、春くらいに尾作氏の既成品へのパンツプレスセミナーを実施しますので、お楽しみに。!
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