自分の食べるものを大切にし、日々が味覚の訓練であると思ってください。
老後の楽しみは食べることだと言われる方がありますが、そう思いません。歳をとってからでは、味覚がついてきてくれないのです。
年齢に関係なく、気がついたその日から、食べ物を大切にし、手をかけるべきものには手をかけ、素朴な味わいのものには、あまり手をかけないほうがよく、素材そのものの活かし方を考えながら、素材が語る声が聞けるようになれば一人前です。
辻留 三代目主人 辻 義一
2013年1月号 Soup Friends インタビューより抜粋
5年前、このインタビューを読んでから、ずっと心に残っています。
当時23歳。
読み終えて、靴をビスポーク(オーダーメイド)しました。
なんで、いきなり靴を注文してんだよ!と、ツッコミがありそうですが「紳士服」も同じだなと思ったんです。
そして20代前半だからこそ良いものを味わってみたいと考え「まずは足元からだ」と思いました。
その当時、既に何年も前から憧れていた靴職人さんがいたので、いよいよ挑んでみようと思い新幹線に飛び乗り日帰りで大阪へ向かいました。
その靴は、注文から納品まで約1年。
値段はひと月分の給料より高い。
製造と消費のサイクルがどんどん早くなる現代で 「待つ」 という行為がこんなにも豊かな体験だとは知りませんでした。
そうして出来上がったその靴は、私を素晴らしい場所に連れて行き、多くの出会いを与えてくれました。
もう20代も残り僅か。
好きな靴と共に、目指す場所へ進んでいきます。
100万馬力でがんばりき(ヒヒーン)