慶應義塾大学 三田キャンパス
芸術の現在Ⅱ
2回目の講義を終えました。
第1回目は自己紹介と洋服の歴史、そして半・分解展について説明をしました。
そして今回は・・・
~衣服生誕250年分の歴史を身体で感じよう~
というテーマのもとワークショップ形式の授業にしてみました。
「見る」ということ
ファストファッションの台頭、スマホの普及により、 多くの人がファッションを身近に感じるようになりました。
乗り換えの駅構内を歩けばユニクロが目に留まり、 気になる洋服があったらスマホを取り出しSNSで見る。気に入ればECですぐさま購入出来ます。
そんな環境に自然と慣れ親しんだ現代の学生に「見る」という機会をつくりたかったのです。
なにを見るのか、どう見るのかが学びのスタート地点になります。
見て「問い」を見出す
洋服もファッションも目まぐるしいスピードで、買い方や価値が変わりつつある現在。
まるで絵画や骨董品を見るように、時間を掛けて丁寧に洋服を見る。
現代において1着の洋服を10分、15分と見る機会があるでしょうか。?
言い方を変えれば、それだけ時間を掛けてまで見入る洋服が現代にあるのでしょうか。?
今回は5つのテーマごとにグループに分かれ、旧い衣服たちを見て各自問いを見出してもらいました。
この「問い」が興味や研究のキッカケになるものです。
見たら「着る」
実際の衣服に袖を通してもらう。 これが私のスペシャリテです。
人間の皮膚というものは、素晴らしい感覚を備えています。
肌で感じることは、見ること以上に多くの情報を得ることが出来ます。
着ると、見たときの問いに対する答えが見えてきたり、身体がより深い問いに遭遇することになります。
今回は、その問いをワークシートに書き出してもらい、私が「構造」と「歴史」と「言葉」でアンサーをしていきました。
本当は、着たら「切る」までやると最高ですが時間の都合上それは出来ませんでした。
「殺し」の実演
「切る」ことが出来ない代わりに「殺し」の実演をしてみました。
一体どんなことかと言うと・・・
↓
「殺し」なんて言うと物騒に聞こえますが、実は洋服づくりの現場、特に紳士服の現場では当たり前に飛び交う言葉です。
例えば・・・
「衿の殺しが甘い、もっと殺せ!」
「綺麗に殺ろせたね~^o^ イセが多かったから殺すの大変だったでしょ?」
なんて会話が日常的に交わされます。
どの様な意味で使われているのかと言うと、アイロンを用いて生地をイセ込む(縮める)事を「殺す」と表現するんですね。
紳士服では「殺し衿」と呼ばれる技術もあるくらいです。
今回は、この 殺し衿の実演 をしました。
「殺し衿」とは、ただの四角い布をアイロンのみで、衿にピタリと寄り添うカーブに変形させる技術です。
何故、こんな技術が生まれたのか。?
気になりませんか。?
ちょっとだけ、寄り道してみましょう・・・
「シルク」から「ウール」へ
アイロンの歴史を紐解くと、フランス革命で大きな転換期が見て取れます。
それは、衣服の素材が「シルク」から「ウール」へと変わっていった時代でした。
これにより「美意識」が根底から覆り、洋服の「構造」にも驚くべき変化をもたらしました。
より身体に密着し、立体的な造形美が求められた時、ウール素材が正に適任だったのです。
この変化も、私が所有するフランス革命前後の衣服を比べれば一目瞭然です。
なんて話をしている内に、殺し衿が完成です。
そして、このドヤ顔である。
殺し衿は学生さん達からの反応がマジでめちゃくちゃ良くてビックリしました。笑
重いアイロンを持参した甲斐がありました。
これからは、殺し衿で女子大生をナンパしようと思います。三田祭で検証します。
最後は、学生の皆さんから頂いた感想を紹介し終わりにしたいと思います。!
本当に楽しかった。皆ありがとうT-T
☆彡☜(◔◞౪◟◔)☞
この様な機会を与えてくれた 慶應義塾大学アート・センター 久保 仁志さん ありがとうございました。!
他のプロジェクトも進めましょう^p^
他のプロジェクトも進めましょう^p^
そして、参加してくれた学生の皆さんもありがとうございました。!未来に幸あれ。!!
全国の先生方、長谷川へのセミナー依頼は rive00129(AT)gmail.com までお問い合わせ下さい。!
~~以下、イベント告知になります~~
11月20日(月)両国にある(株)CRAZYで開催されるトークイベントに登壇します。ハッケヨイ
タイトルは「新しい時代の『ものづくり』のつくり方を考える」です。
この様なテーマで話すことは初の経験です。
「ものづくりを考える」ではなく「ものづくりのつくり方を考える」というテーマですので、結果よりプロセスに比重を置こうかと。
「ものづくりを考える」ではなく「ものづくりのつくり方を考える」というテーマですので、結果よりプロセスに比重を置こうかと。
「技術職」「専門性」「立ち位置」「ネットとリアル」「半・分解展」こんなキーワードで話してみようかしらん。ファッションは捨てます。
私以外の登壇者が実績のあるイケイケな先輩方ですので、私は自由にフラフラします^0^
詳細・応募は下記URLよりご覧ください。ノコッタ
http://peatix.com/event/318045/view
http://peatix.com/event/318045/view