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この日は「第1回 新春・大紳士服討論会(仮)」を行いました。

名前だけ聞くとスゴそうですが、洋服好きの友達で集まって、あーだーこーだー討論をする勉強会です。
私を含め5人集まってくれました。ありがとう。!

平均年齢は24歳。テーラー3人のパタンナー2人。みんな偏った人たちです。



まずは、某テーラーに勤めるT君の私物。
珍しい「AH総割り始末」の1930年代USAのカッタウェイフロックです。モーニングさんです。


上記写真は鎌底。

予想通り、鎌底の縫い代は極僅か。逆カーブのくせとりがされ、極めつけに縫い代が芯地にからげてありました。
この時代の浅い鎌だからこそ生まれた総割り始末。ですが、サイズ調整が"不可能"と云う側面もある、諸刃の刃なのです。


中の芯地使いも覗いてみました。

以前、私が紹介したSAKSのカッタウェイフロック同様にオモシロイ芯地使いがされています。
アメリカモノは、よっぽどオモシロイモノじゃないと購入しませんでしたが、他国モノに比べ、中身が非常に興味深いです。今後、積極的に買ってみようかしらん。


このヘリンボンの増し芯なんて、初めて見て触りました。カシカシした手触りで不思議なハリがありました。いったい何なんだろう・・・


袖は、こんなカーブ。

この時代の"ツボ"を押さえた良い袖です。 良くも悪くも私はこの袖が大好きなので、製図の際はよくこの様なカーブを描きます。
前肩の丸みと後ろのなだらかさ加減がたまらんのです。デュフフフf

そして、
私の実験の途中経過も報告しました。

まずは、NO.6のcutter and tailorからLounge Suit


NO.6は、縫いあがっているので、実物とパターンを見ながら、意見交換。

とくに伝えたかったのが、実際に縫ってみて「うわあ、エロいなあ~」と感じた「S字カーブの袖」
パターンだけ見ると、こりゃヤリ過ぎだろ~ と思うラインも生地で縫ってみると意外とイケる。何だか艶かしい。
この袖、特有の「エロさ」はみんなで共有できました。

乗馬の際に轡(たずな)を握る姿勢で初めて生かされるこのS字カーブ。かなり変則的に曲げているので、袖幅のわりにシャープに見えることにも気がつきました。うまく応用が出来そうです。やってみてヨカッタ。!



続いては、NO.8のMODERN DESIGNERからSack Coat


こちらは、かなり不思議なAHをしていて、「前身の肩先が落ちすぎだろう。絶対に身体にはまらないな~アホだろ。笑」と、高を括っていたのですが、身頃を組んでみたら、その逆の状態になりました。

パターン(2次元)で急激に落ちていた肩先のラインが、洋服(3次元)になると背を引き上げ、前肩を補助していたのです。 

何故、こうなった?と、初めは理解出来ませんでしたが、ひと呼吸置いて冷静にパターンを見ると納得出来ました。

この事を、みんなに話しました。
が、この肩に関しては一筋縄ではいかず、「前肩処理」について喧嘩になりました。
この "極端に落とした肩先" は、研究の余地がまだまだまだ有りそうです。まずは袖をつけて完成させねば・・・



上記2つの他にも、実寸で引いたパターンや古着から丸抜きしたパターンを5,6種類用意しておいたので、それぞれ盛り上がりました。

例えば下は以前紹介したFrench Fireman Jacketを丸抜きした型紙。


"まん丸なAH" と "思いっきり寝かした前身" が特徴的です。あと、肩傾斜にも要注目です。

このパターンを基に製作したのが、Paul Grassart TailleurさんにThe Cutter and Tailorで取り上げて頂いたこの襟のジャケットです。 (この襟は完成後、無理やり補正しました。縮めるのはよくないですね・・・)


他にもNO.9のRed Bookから詰襟を見つつ、WW1後に何故、肩傾斜は大きく変化したのか?などなど話し合いました。



また、
彼等の作品も、もう一度見せてもらいました。



このコットンジャケットが特にツボなんです。肩のハマリ具合と袖の流れがカッコイイんです。



その袖がコチラ。
随分、乙な袖を描いています。 彼(21歳!)のパターンは学生時代から数型見てきましたが、独特のラインを持っていて私は大好きです。 学校で習う教科書通りの袖を引いてるトコは見たことがありませんが。笑


で、
みんなだったら、どう補正する??
と、問いかけたのがコチラのパターンです。



この型紙は、いつもお世話になりまくっている古着のディーラーさんから依頼された、珍妙なフレンチワークジャケットを丸抜きしたパターンです。

丸抜きの作業手順も写真に収めたので、今後紹介しようと思います。
こんな感じに囲み製図で抜いていきます。 






心の底から知りたいと感じた服は解体して抜いてしまいますが、人様のモノはこの様にテープ等を使ってラインを拾っていきます。 意外とコレ、コツがいるんです。


古着自体は1950年代~60年代のモノだと思うでのすが、抜いた型紙はその時代の雰囲気ではありませんでした。 私の得意としているww1以前の特徴もいくつか見られました。

予め、自分だったらこう補正しようかな~。と、考えていました。
が、洋服マニアのみんなはどんな補正をかけるのか気になったので、古着とパターンを見つつ着つつ、話し合ってみました。 テーラーの友人も来ているし。

まあ、結果は私が考えていた補正と同じでした。
大まかに云うと、前身を引き上げて、背幅を出して・・・ってな具合です。
今週末にディーラーさんに型紙とトワルを渡しにいきます。どうなるかな・・・不安です。


その後は、みんなで私の古着コレクションをイジリ倒しました。
下の写真は、 "手縫いのホール" について話し合ってる様子です。
「ホールをかがる際に糸の撚りをもどして1本抜くか?」 とか 「ハトメの涙は立たせた方がカッコイイ」とか、さすがの私でも引いてしまう話しをしている変態さん達です。  春ですからね。

また、勉強会しようね。


こんな風に、洋服にドップリ浸かる週末を過ごしていますが、先週の23日は渋谷ヒカリエにて行われた「カルチャーとしてのファッションと現在」と云うテーマの対談に参加してきました。

顔ぶれは、honeyee.com編集長の鈴木哲也さん ・ UAメンズバイヤー、ディレクターのPOGGYさん  ・ フォトグラファーのシトウレイさん ・ クリエイティブディレクターのムラカミカイエさんです。

前回、参加したシンポジウムとは、また違った立ち位置にいる彼らの考える「ファッション」に興味がありました。短時間でしたがオモシロイ内容でした。
感想は、後々まとめます。

おやすみなさい。


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