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あ~、おもしろかった。

とは、思えなかった BFGU FW (文化ファッション大学院大学ファッションウィーク)
以前こちらでもチラッと紹介したシンポジウム。


もう、ひと月前の話しなんですがサラッと感想を。長文です。
(時間の都合上シンポジウムのみの参加となりました。ファッションショーは見ていません)

重複になりますが、まずはこのシンポジウムのテーマをもう一度紹介します。

"再創!!ジャパンブランド"
-創る・育む・売る-
「ジャパン発の100年ブランド 100年ショップを再創造しよう!」

う~む。キャッチーで良いテーマではないですか。
そして、注目のパネリスト御三方が、

大西 洋  株式会社三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長
重松 理  株式会社ユナイテッドアローズ 取締役会長
前澤 友作  株式会社スタートトゥディ 代表取締役

これまた錚々たるメンツです。
各社、話題性に欠けることもなく、伊勢丹がリニューアルオープン目前、UAが東証の「上場会社企業価値向上表」初代大賞受賞、ZOZO前澤氏のTwitter発言問題等々。
加えて、ユーストリームでの全世界同時生中継ときて・・・これは何か起きるんじゃないか。?と、ドキドキした心持での参加となりました。

ちなみに、このシンポジウムに参加した理由は以下の通りです。
私自身のモノづくりの最大のテーマである「100年前の感動を100年後に伝える」(正確には150年前ですが・・・)
それと、私の現在勤める会社の「100年後まで残るモノづくり・100億売り上げるより100年続く企業を目指す」といったコンセプト。
それが、このファッション業界をリードする御三方の「100年ブランド・100年ショップ」"考え方"と、どれ程差異があるのか気になったからです。
だって、ZOZOTOWNが「100年企業を目指すぜー!」なんて云ったら、興味を持つでしょう。?今回は特に前澤さんの話が聴きたかったのです。


で、結論。!


やはり、大きな差異がありました。
私は「文化」や「伝統」を大切にモノづくりを伝承させていきたいと考えています。
だって、このブログで紹介している(紹介しきれていない)古着達に魅せられたら、この「感動」を「技術」を「素晴らしさ」を伝えなければ!!!と思いますもん。

しかしまあ、それは私の「技術者」と云う立場から目指す100年で、御三方の100年は「経営者・アパレル界代表」といった立場・使命からの考え方でした。

改めて当日のことを思い返してみると、私は「モノづくり」についてのアツイ話が聴きたい! なんて勘違いしてこのシンポジウムに挑んでいたので、実際は経営戦略やMD論、数字の話が主体の討論会で「モノ足りなさ」を感じたのかもしれません。(私がアホでした)
まあ、MDや経営の話しも私は大好きなので、それなりに楽しめましたが。

ちなみに、シンポジウム全体を通して1番耳に残っているフレーズがUAの重松会長が云った 「日本人のおもてなしの心が世界と勝負する大きな鍵だ」 です。ちょっと意外でした。


さて、
それではシンポジウムの内容をザッと紹介します。
シンポジウムは二部構成になっていて、第一部は各社の自己紹介と他愛も無い世間話しでした。なんとも呆気なく終わりました。ホントに。

伊勢丹に限っては、完全にCMになっていて、「リニューアルすることで~」「つまりリニューアルが~」と、リニューアルオープンに向けて最後の猛アピール!といった印象を受けました。
合わせて、「リニューアルを経て、百貨店のシンボルになりたいんです!」と、云ってましたが「充分シンボルになってますよ~」と思いました。

ZOZOの前澤さんは「売り上げ4000億を目指します」と、真面目に本気で云っていました。確かにZOZOならやってくれそうな気がします。だって、ゾゾタウンおもしろいですもん。
新しい取り組みに積極的にチャレンジしていると思います。スピード感があります。

と、
第一部は、みんながみんなの顔色を伺う感じで終始進みました。ユーストの生中継もあったせいか、当たり障りなく無難に過ぎていきました。

ほら、決算がちょっと悪く成っただけでマスコミからいじられまくってるから気持ちが乗らなかったんじゃない?株式公開して事業をやるのは、相当社会性が高いか、逆に変人じゃないと大変だな~と、はたから見て思う。

とは、某メーカー代表取締役のコメント。
う~ん確かにその通りですよね。ちょっとした発言で株価変動とかフツーにありますもんね。ましてや、ユースト生中継の中で喋るなんてキケン過ぎます。

続いて第二部。
先のパネリスト御三方に加え、更に各社"右腕"となる方々もステージにあがりました。
UAからは栗野さん、ZOZOからは武藤さん。などなど。
パネリストが増え、いよいよシンポジウムらしくなってきました。第二部では、具体的なMD戦略や数字の話しが飛び交いました。

まずは、伊勢丹。                                  
低価格路線には行きません。 「良いモノ」をちゃんとプレゼン出来れば、やっていけます。
100年ブランドを目指すには、我々が消費者をリードしなければなりません。!
それに伴いMDの考え方を一新しました。 ・・・・「感性分類×属性分類」のMDです!イェ!サイコー!!

と、一旦ここで切ります。
伊勢丹の云う「感性分類×属性分類」とは一体なんでしょう。どの様な顧客層を狙っているのか?どの様に分類しているのか? サラッと説明します。

昔々、あるところに「VAN」と云うアイビースタイルで一世を風靡したブランドがありました。
その頃は、洋服を作れば勝手に売れていくプロダクトアウトの時代でした。
なので、百貨店の売り場構成は、「女モノ」か「男モノ」、10~20代向け・30~40代向け・50~60代向け。
と、「性別」と「年齢」で分けてました。 もう、それはそれは売れて々れてウハウハでしたとさ。

それから、しばらくして「インポートブランド」や「デザイナーズブランド」の時を経て、プロダクトアウトは崩壊し、マーケットインの時代がやってきました。
MD構造は、「性別」「年齢」に加え、「感性」やら「ライフスタイル」やら「見えない付加価値を~」「いやいやマインド年齢が~」なんやらかんやらが重視されるようになりました。
まあ、「お客様のことをもっと考えよう!」と、気持ちを改めましたとさ。
めでたしめでたし。


ハイ。
ここまでが、大体20年前くらいの話しです。学校の授業で教わりました。
で、
天下の伊勢丹様が感性分類だけじゃモノ足りないから「属性分類」を合わせて勝負するぜ!もっとお客様のこと考えちゃうぜ!バカヤローコノヤロー! と、云ってるわけです。
その「属性」とやらは、会社での地位など、その人の属する立ち位置を踏まえたアイデンティティーやライフスタイルのことを指すようです。 う~ん話だけ聴くと、言葉が変わっただけのような・・・

まあ、この様なMD論だけではなく、具体的な取りくみとして「パーク」の設置やアートとのコラボ、若手デザイナーの発掘に百貨店の使命として力を入れる。!と云ってました。素晴らしい。
※ちなみに伊勢丹のリユーアルオープンは3月6日を以ってスタートしています。もう行きましたか?


続いては"UA"ことユナイテッドアローズです。                       

「2014年3月までに NO.1高感度ファッション専門店 になります」

と、目標を掲げていました。
正直、第二部から参戦した UAの「栗野さん」の話が、1番共感でき面白かったです。聴いててワクワクしました。

21世紀、空前の「節約ブーム」。 もはや節約が目的となり、消費者の「節約疲れ」をひしひしと感じていたUAは、どうにかせねば!と、アプローチを仕掛けようとしていたその時に3.11が起きたそうです。

しかし、この311で、目に見えて市場に大きな変化があった。と、重松会長は云ってました。
なんと早い店舗では、ひと月で売り上げが回復したそうです。 震災当初は、向こう1年間は洋服は売れないな・・・なんて重い空気がアパレル全体に流れていましたが、この市場動向を目の当たりにし、いかにファッションがお客様に「喜び」を与えるか再確認したそうです。
伊勢丹同様に低価格路線でいくのではなく、ワンランク上のモノを提供しお客様を元気にしよう!、と。 
確かに、衣食住の中で「衣」はもっとも嗜好性の高い部類だと思います。

ソレに向けたMD構造の説明が栗野さんからありました。
ビジュアルと共に、非常に判りやすいプレゼンでした。UAの今の顧客とこれからの顧客像、勝負する土俵づくりなどなど。
その話しを聴いていて、私は「地面に水が染み込んでいく様子」が想像出来ました。(勝手な私の解釈です)

例えば、ここだ!って決めた地面にジョウロで水を注ぎます。水はどんどん広がり、水溜りが出来て、やがて染み込んでいきます。

この"染み込んでいく部分"にいる消費者まで取り込もうとしているな~なんて私は感じたワケです。
「染み込んでいく部分(しかも端っこ)」にいるのは、千葉くんや舘野さんやケンや豊田さんや金子くんや金子さんや吉田さんですぞ!!!!ぞ!

UAの様な企業形態がココにまで水を浸透させるのは、中々ムズカシイと思います。 が、やっぱりいるんですよね、トンネルを掘る人たちが。
それこそ、POGGYさんが適任者です。ヤッパリ、彼の動向は気にしてなくても気になります。笑
目に止まるんですよね。そして、気づくとUAに行ってたりします・・・ ぐぬぬn恐ろしい。


UAは兎に角、「我々からお客様に近づいていく」 「我々が発信し、知ってもらう」 のだ。!と、云ってました。

確かにUAの歴史を辿ると、その思惑が見えてきます。路面店から始まり、ルミネ・百貨店に進出。ネット販売からテレビ通販。と同時に駅中、空港。! と、非常に判りやすい戦略です。シンプルが美しい!
ネット・テレビで見えない顧客にアプローチしつつ、駅中・空港といった「人の通り道」への積極的な出店。 次は、何処まで広がるの?ってモチロン世界と勝負するでしょうし、今までの土俵にもしっかり根付かせる。
この根付かせるサイクルを「7年」と云ってました。振り返って見ると、何となく7年だったそうです。

そして、世界との勝負に必要なのが、冒頭で挙げた「日本人のおもてなしの心」 だと、この様に説明してくれました。
昔は、日本人の「技術力」が世界と勝負する為の鍵になると思っていたが、最近になって それでは無いと気づいた。日本独自の文化、「わび・さび」の美意識、繊細さ、丁寧さをもって「おもてなし」をする。
技術を込めた商品ではなく「日本人」で勝負する。そうすれば、世界と戦えると今は確信しています。


大体、こんな感じで云ってました。共感出来ます。 と、云うか正に今、私が勤めている会社が15年前からこの考え方です。ちなみにウチとUAは仲良しです。(卸してはないです。ウチは卸をやらないので)
なので、UAも同じ考え方なんだな~!と、ちょっとビックリしました。が、嬉しい。


で、

最後にZOZOです。!!                                    
始めに云った「売り上げ4000億を目指す」とは、どういったことなのか。?この様に説明してくれました。

O2O(オンライントゥーオフライン)の流れはますます広がっていく。「店舗で見てネットで買う」「ネットで見て店舗で買う」という消費者の行動が定着しつつある。
近い将来、アパレル企業の売り上げの内、1割以上はネット販売が占めるだろう。と、云うか占める。(UAなどは既にそうなっている)
その1割のうち、半分をZOZOが独占出来れば、4000億は絵空事じゃなくなる。

と、こんな感じで云ってました。カッケエー

「スタートトゥディ」はゾゾタウンばかりに目がいきがちですが、HPの代行製作も主力事業のひとつです。伊勢丹メンズUAの通販サイトは全てスタートトゥディが作ってるんですよ。?スゴクないですか?(その他、超有名企業のHPも)

また、ZOZOもUAと同じように「おもてなし」それも「ネット上でのおもてなし」にチャレンジしているそうです。
チャットコンセルジュ!?や動画配信、SNSとの連携などなど。とにかく新しいコトにチャレンジしています。おもしろいですね~

そして、第二部から登場した武藤さんがZOZOTOWN内での2012年8月から12月の男女別売り上げベスト6をビジュアルと共に発表してくれました。製品が見たいな~
ちなみにZOZOTOWN内には現在、約2000ブランド500ショップが存在してます。うわぁあ嗚呼

で、いきます。!


メンズ部門
第1位
HARE メルトンダッフルコート 価格17,000円 販売枚数5,789枚!!
第2位
RAGBLUE ウールフードボアジャケット 9,500円 9,847枚!
第3位
Green Label Relaxing モッズコート 16,000円 2,732枚
以下省略...

レディース部門
第1位
KBF BIGモッズコート 14,800円 5946枚!
第2位
Green Label Relaxing ラインダッフルコート 24,500円 1,992枚!
第3位
Green Label Relaxing 切り替えブーティ 9,500円 4,567足
以下省略...


ヤバイです。
桁が違いすぎて想像出来ないです。 ユニクロさんになれば、更に桁が変わります。
そいで、男女上位2つはコチラです。
コレが、今の流行り・・・なんでしょうか? 150年前の服なんてつくってる場合じゃないです。!
特筆すべきは、上記ランキングに上げた全ての製品が、受注生産なんです。!!
売ってから、作っているんです。しかも、予約してから手元に届くまで脅威の約1ヶ月

モノによっては4週間です。
この納期は早いのか?遅いのか? アパレル業界が短い小生には、まだ良く解りませんが、同じく受注生産のWorkersで約3ヶ月。
もちろんWorkersとなれば、やれ付属は金型からつくるぞ、ミシンはコレでこの仕様だ、などなど規制が他ブランドより多くなります。 
ブランドの規模や目指すクオリティーで随分と変わってくると思いますが、17,000円のコートが約6,000枚売れて1ヶ月で購入者の手元に届いた。 と、云う事実が今の私には驚きです。将来、独立する為にも、量産の流し方は学ばないとなあ・・・ワカラン。

と、三社それぞれオモシロ~イ話しをしてくれました。


最後に!ひとつ。
シンポジウムを通して、よく出たキーワードのひとつに「第3極」があります。
第3極とは?

第3の勢力という意味。例えば二大政党制で、多くの議員数を占める二大政党の次の勢力になりうる政党を第3極と呼んでいる。
日本では2010年現在、民主党と自民党を2大政党とし、それ以外の党を第3極と呼ぶことがある。公明党、共産党、社民党などのほかに、2009年の衆議院議員選挙前に生まれたみんなの党、2010年の参議院議員選挙を前にして生まれたたちあがれ日本、新党改革、日本創新党などがある。またこれらの政党をまとめて第3極と呼ぶ場合もある。
マネー辞典から引用

こんな意味を持った「第3極」という言葉が、どの様に使われていたのか?
そして、アパレル界の第3極とは誰なのか?

・・・なんと、御三方揃って「あるブランド」の名前を挙げました。

アパレル業界での二大政党、言葉を変えて「二大マーケット」と云えば、大きくはユニクロなどの「ファストファッション」、それとは相反する位置にいる「ラグジュアリーブランド」この2つのマーケットは何だかんだ好調らしいです。

その二大マーケットに物申したい!!!けど、爆発力が無い・・・勢いのあるブランドないのー!?

そんな話の流れから・・・
UAの口から「此処は良いよ。」と、出たブランド名が「Kolor」でした。
すると、ZOZOが「ちょうど、昨夜、どうすればKolorみたいなブランドがZOZOに入ってくれるか会議してたんですよ!」と続け、
極めつけは、伊勢丹の大西代表が「わたし、Kolor着てるんですよ。 私みたいなオジサンでもKolorは着られるんですよ」 と。
・・・!!!!?

なんと、数時間のシンポジウムの内、十数分はKolorの話しになりました。

「カラーは正に第三ブランドだ」
「モードとリアルクローズのバランスが秀逸」
「一見難しく見えても、着て見ると違和感無く着られる。これはシルエットが良いからだ」
「TOKYOを代表するブランドだと思う」
「デザイナーの思想が洋服からヒシヒシと伝わる」
「考えられた洋服だ」
「カラーも良いが、サカイも良い」
「最高。マジで最高ヤベエよマジで」
等々。

本当にこんな意見が飛び交いました。盛ってないです。事実です。
その週末は光の速さでカラーの製品を見に行きました。そんなにベタ褒めされたら、見て触って感じるしかないでしょう。!
もちろんカラーはアパレル業界の人間なら聞いたことはあるだろうし、私も知ってました。ウチの会社にもカラーファンが3,4人ほどいます。「毎日ファッション大賞」で大賞を獲ったのは記憶にも新しいですし。
でも、シッカリみたことは無かったので、ガチで見てきました。感想はヒミツです。


えー、以上がBFGU FWの感想です。

当日は「アナリスト」として5名程の方が招待されており、質問・疑問等をなげかけていたので、アナリストの方々の名前をメモして後日、ブログ等々調べたのですが、誰ひとりシンポジウムの感想を書いていませんでした。 どんなことを思い、何を感じたのかな~?と興味深かったのですが残念です。
むしろ、ネットでこのシンポジウムを検索しても、感想はほんの数件程度しかHITしませんでした。

それが、このシンポジウムの感想なのかもしれません。
全体を見れば、丸く収まった会だったので、皆さん物足りなさを感じたのでしょうか?
しかし、この豪華なメンツでの対談なんて滅多に聴けるものでは無いと思うので、第二段・三段に期待したいです。





さて、ワタシ、先日PCを買い換えました。
Windows7 64bitに250GB SSDとHDD 1TBブチ込みました。
おかげでサクサクです。シアワセです。
しかし、!!!!!!
以前のXPのバックアップを取っておいた外付けHDDに繋がらないんです。何故?
もう、丸2日格闘してます。PC焼き払いたい。あはははh




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