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 100年以上前の衣服を分解し、展示する「半・分解展」

来場者の皆さまから頂いた想い

この個展に足を運んで頂いた多くの人々が、1着の衣服の前に10分も20分も立ち止まり、想いを馳せているのが印象的でした。

「存分に味わって欲しい」という考えから、再入場は無料とし、約60人以上の方にリピートして頂きました。
中にはメジャー持参で3回も来て頂き、細かく採寸してくれた方までいました。
時を経ても、こんなに愛される衣服は幸せだろうな。と思います。

印象に残っている 言葉

半・分解展の来場者に頂いた、印象深い言葉があります。
今回は、そちらを紹介したいと思います。

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「100年前の技術者と語り合える、何ものにも代えがたい喜び」


「洋服は、100年の時を経ても、姿形がそこまで大きく変わっていない。
だから洋服を分解しながら、当時の技術者がどんなことを考えて服づくりをしていたのか、想像が膨らむ。
もし、現代に当時の技術者がタイムスリップしてきたら、きっと朝まで語り合うことが出来るだろう。
こんな喜びは、他のプロダクトでは中々、味わえないと思う」

こちらのコメントは、京都・名古屋と2都市の半・分解展にお越し頂いた イマージュ プロ 久田 良一 さんです。

久田さんは現在、名古屋を拠点に「リ・クイエイター」という、洋服を再生する仕事をしています。
洋服の仕事に携わる前はロードレースのサスペンションの技術者をしていたそうです。

車やバイクの世界だと、テクノロジーの革新的な進化で、100年前の技術者が現代にタイムスリップしても、全く語り合う事が出来ないだろう。と、言っていました。

そんな、久田さんの経験に基づいた言葉は、自分が今、服をつくれる"喜び"や"幸せ"を再認識するきっかけになりました。

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「服をつくるのは業者ですが、それをその時代の文化にする力を持っているのは私たち消費者なのですから」


「ここに展示された服は、きっと何かを教えてくれる、或いは思い出させてくれるはずです。
それが何かは、一人ひとり異なるでしょうが、『服って本当にすげぇな!』という驚きはきっと共通です」

京都・名古屋と2都市の個展に足を運んで頂いた 昔履いたオニツカ の 管理人 カッタウエイさんの言葉です。

消費者目線からの進撃な言葉です。 是非、リンクから全文を読んでみて下さい。
私は、服づくりに関わる人間として、強く衝撃を受けました。

自分がどういった立ち位置でモノづくりをしていくのか。
これを機会に考え直すことが出来ました。
そして、この様な気持ちをもつ消費者の期待を超えていかねば。と、思うのです。

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「100年後にも残る洋服は、現代の生産サイクルでは生まれないと思う」

「服づくりに関わる人たちの欲求が足りてないと思う。
言葉で説明できる洋服はいらない」

耳が痛い。辛辣な言葉です。
こちらは、半・分解展に衣服の貸出しをしてくれた中のひとり、知る人ぞ知るVintageコレクターmorning manです。

定期的に、お会いする人の中で、いつも核心に迫る言葉を投げかけてくる方です。私はいつもハッとさせられます。
「デザイン」を生業にする人は、メンターとして、こんな人が傍にいてくれると心強いと思います。

独自のノウハウと、開拓したマーケットから、衣服の流通を見ているプロです。
鋭い言葉の裏には、現代のモノづくりへのアンチテーゼが見え隠れします。

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「半・分解展というタイトルには、物事を捉える視点を"半分回転"させる という意味も含まれているんですか」


「例えば、首を傾けて見てみたり、違う視点から物事を考察してみる。
旧き衣服を半分分解し、自身を半分回転し、捉える。
半・分解展というタイトルには、そういった意味合いも含まれているんですか?」

慶應義塾大学アート・センター 学芸員 久保 仁志さんからのコメントです。

私自身、タイトルにそこまでの意味合いを含ませたつもりは有りませんでした。
しかし、これまでの衣服の捉え方とは違った視点から、衣服を感じ取って欲しい。という狙いは有りました。
なので、半分解展=半分回転は、正に久保さんの言う通りなんですね。

後日、慶應義塾大学アート・センターで3月17日(金)まで開催されている「なだれうつ!アヴァランチ」を久保さんに案内して頂きました。
上記、写真はその際に撮ったものです。 右側が久保さん。

久保さんとの話しは非常にエキサイティングで、これから何か形にしていければと思います。


今回、紹介した4名の他にも、多くの方からコメントを頂くことが出来ました。
皆さま、ありがとう御座いました。

ところで、頂いた直筆のコメントの中に・・・

Creative!!!  by Yohji Yamamoto (多分こんな内容だった) 

と筆記体で書かれていたのですが、絶対誰かのイタズラですよね。
こんなイタズラされたら、さすがの私も、怒ムデギャルソン。

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