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「長谷川は絶対にLes Miserablesを観るべきだ。!君の好きそうな洋服がたくさん出てくるぞ~!泣けるぞ~!」 


と、ここ1ヶ月の間に3人の方から云われ、3連休だし、じゃあ観てみようと先日、六本木ヒルズに行きました。

さて、私は映画をまったく見ません。むしろ、テレビもまったく見ません。もう7、8年はテレビの無い生活をしています。今でも耳に残るCMソングは「聞いてアロエリ~ナ、ちょっと言い難いんだけど、聞いてアロエリ~ナ」です。 学生時代、昼休みの話の輪には入れませんでした・・・
アロエリ~ナYoutube

つまり、 画面を下にスクロールすれば、私の「Les Miserables」を観た感想がツラツラと書かれているのですが、完全に「メンズファッション目線」と「アロエリ~ナ目線」での戯言になるので、その点ご注意願いたいです。


さて、本題になります。
まず、Les Miserables(以下 レミゼ)の舞台背景ですが、フランス革命後の1815年~1833年のパリになっています。
この頃、メンズファッション界ではイギリスが多大な影響を与えていきます。ひとつの分岐点になった時代と云っても過言ではありません。

そんな時代背景のレミゼ、私は トラウザースの普及、地味なウールとアイロン操作、カントリージェントルマンの美意識 この3点に注視しました。
上着の形でいうと、ラウンジスーツやサックコートはまだ生まれていません。モーニングコート・フロックコートもギリギリ出てきませんでした。ニアミス!
主として登場したのは、テイルコートやオーバーコート、トップコートと云われる上着です。(上流階級は素材が総シルク!!ぐぬぬぬ)
この様なコートです。 現代、「コート」と聞いてこんなブルジョワジィなコートは想像できませんよね。
ひと目 見ると、こんな洋服見せられてもワケワカンネ~と思うかもしれませんが、現代私たちが当たり前に着ているスーツの源流が宿っています。

そして、ちょっと寄り道をして、下記メンズファッションの年表を見て、私が影響を受けた年代の服装を紹介します。(クリックで、でか~くなります)
レミゼの衣装と比べてみると面白いですよ。?

私の数ある古着のコレクション。それをよ~~~く見てみると、ww1前と後では、洋服の根本的な考え方・仕立ての技術が大きく変化していることに気が付きました。(と、云うか、改めて気がつかされました。1年前の私では、表面的な変化しか見えていませんでした)
1900年の古着と1920年の古着では、フィッティングが全く違います。
そして、更に1930、40年の古着・型紙になると、全くの別物になります。非常に整った、美しいライン・ドレープになるのです。
1900年と1920年の違いもさることながら、1930~年と見比べるとそのフォルムの違いにビックリします。現代で着ても、全く違和感を感じない、むしろ洗練された印象です。ホントに。!!(※デザインやスタイルではなく、あくまで型紙・補正といった技術的目線です)



ちなみに垣田先生と云えば、70年代フランス。!それもオートクチュール! 年表で云うならば、3段目の真ん中くらい。
70年代の黄金時代に「Cerruti1881」や「Christian Dior」での経験が垣田さんの基盤になっていると思います。オートクチュールの職人として腕を磨いてきたので、立体裁断でスーツを仕立ててしまうのも垣田さんの大きな特徴です。
去る3連休の初日は、垣田さんのレディスジャケットの講習を受けてきました。もちろんレディスといっても総毛芯。
毛芯から肩パット、ハ刺しにアイロン操作と全て手づくりです。
今回のモデルさんは背筋が真っ直ぐ姿勢が良いので、綺麗なドレープが生まれそうです。


ついでに、私の好きな年代が、年表の2段目全て。!笑  特にと云えば、1860年代ですかね。
Lounge Suits誕生の時代です。! 
さてさて、今回のレミゼは、さらに上。 1段目の真ん中です。
もはや、テーラー的な技術もほぼなく、(むしろ、この時代から生まれ育った) スタイルとして見てもコスプレチックです。(2段目も充分コスプレチックか・・・?)

大体、レミゼに出てきた人達は、こんな格好でした。



特に下段、真ん中と右端のスタイルが劇中多く見られました。

映画を見ていて、まず目をひかれたのは、なんといっても肩傾斜。!
この時代のメンズファッションの美意識「洋梨型シルエット」 それに代表される特徴が、この「なで肩」だったり、「ふくらはぎの曲線美」です。

ちなみに、コチラ、劇中でのひとコマです。



地味な色のウールを着ています。渋い。
私が注視していたカントリージェントルマンの美意識が垣間見える?様な気もしますが、形はカントリーフロックのソレとは程遠いです。
見ているだけで、前肩が辛そうです。「アイロン操作」の技術は発展途上といったところでしょう。プラス「補正」の概念が型紙に用いられるのは、これから100年後になります。

レミゼは、囚人服から始まり、貧困層~富裕層。農民に労働夫、社交界と多種雑多な服装が見ることが出来ました。
上記画像は、革命を起こそうとする学生達。真ん中の彼、赤い上着はテイルコート、その下は、もちろんトラウザースです。トラウザースを穿くことが、革命のシンボルとなります。

そして、彼等の向ける銃口の先にいるのは、警官達。
正直、警官が1番カッコよかった・・・やっぱり軍服はイイです・・・




雨具の下に見え隠れする、青い羅紗の詰襟。私の大好物の素材です。
以前紹介したFrech Fireman Jacketと同じニオイがします。


詰襟も印象的でしたが、ラストシーン手前の「社交界」の描写もよく記憶に残っています。
この社交界のシーンは、物語も大詰め1833年のパリでの昼間のパーティーでした。(確か、夜ではなかったはず?)
1830年代といえば、いよいよ「Frock Coat」全盛期間近で、社交界のシーンでは「ボー・ブランメル」に憧れる男たちのダンディズムな格好が見られるのでは・・・!?
と、期待していたのですが、黄色と黒色の縦縞総シルク。キンキラキンのモール刺繍。シルク・パッカリング、シルク・パッカリング。金。銀。赤紫。シルクシルク・・・ってな感じで、想像と全く違う社交界の様子でした。洗練された社交界は、もう少し先なのでしょうか・・・?
控えめな色使いで、身体にフィットしたラインのテイルコートは見当たりませんでした。残念。

こんな服をもっと見たかったです。




さて、ココまでがLes Miserablesを観た感想でした。

結構、泣ける話しだったそうですが、私は終始ノートとペンを持っていました。
ラストシーンで隣の彼女はシクシク泣いていましたが、私はセッセとペンを走らせていました。後のケンカの原因です。

純粋に楽しんでも、ナナメな目線から観ても見応えのある映画だと思いました。 完。



で、



ヒルズやらミッドタウンを偵察し、新宿伊勢丹のショコラセレクションにてチョコレートをGETし、
聖地encoreに向かいました。

買い付けから帰ってきたばかりなのでワクワクしながら向かい、出会ってしまいました。

なんの因果か・・・
Les Miserablesを観たその日に、コイツがやってくるなんて、運命です。












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